麻薬戦争を揺るがす腐敗警官


地球だより

 ドゥテルテ大統領の麻薬戦争が激化するフィリピンだが、ここにきて警官の腐敗が足を引っ張り反対勢力を勢いづかせている。

 このほどマニラ首都圏カロオカン市の警官が、麻薬捜査を装って民家に押し入り現金などを盗んでいたことが分かり、関与した13人が解任された。

 武装した警官たちは麻薬捜査中に実業家女性の家を訪れ、門の施錠を工具で破壊しそのまま家に侵入。部屋にあった携帯電話や現金など3万ペソ相当を持ち去った。民家に設置された防犯カメラの記録から、警官たちの犯行が明るみとなった。警官は麻薬捜査のために女性宅に侵入したと主張しているが、捜査令状はなかった。2人の孫の面倒を見ていた初老の被害者は、麻薬取引への関与を否定している。

 この事件の前にもカロオカン市警察は、麻薬捜査で無抵抗の少年を射殺した疑惑が浮上し、麻薬戦争を揺るがす大きな問題に発展。各地で抗議集会が開催されている最中であり、強気のドゥテルテ氏も謝罪に追い込まれ、カロオカン市警察の1000人の警官は、集団責任で再訓練を言い渡された。

 しかし、このような警官の横暴は日常的なもので、問題になるのは氷山の一角にすぎないというのが正直な感想だ。麻薬戦争の前に、まずは腐敗した警官の浄化から始めるべきだと思うのだが、腐敗警官の問題は麻薬撲滅よりも根が深そうである。

(F)