イスラエル首相、ガザ攻撃継続を宣言


メディア支局ビルを破壊

 イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム根本主義組織ハマスとの交戦が続く中、イスラエルのネタニヤフ首相は15日夜、テルアビブの国防省本部からテレビ演説を行い、ガザ地区への攻撃継続を宣言した。

15日、パレスチナ自治区ガザ市で、イスラエル軍の空爆でがれきとなった米AP通信支局などの入居ビル(EPA時事)

15日、パレスチナ自治区ガザ市で、イスラエル軍の空爆でがれきとなった米AP通信支局などの入居ビル(EPA時事)

 ネタニヤフ氏は、イスラエルへのロケット弾攻撃を開始したハマスを非難し、「必要な限りガザ地区への攻撃を続け、民間人の犠牲者を避けるために最善を尽くす」と述べた。

 イスラエル軍は15日、ガザ市内にあるカタールの衛星テレビ局アルジャジーラやAP通信などが入居する高層ビルへ空爆を行い破壊した。同軍によると、この建物はハマスが海外メディアを盾に軍事拠点として使用していたという。

 一方のハマスは、この高層ビルへの空爆を受け、ガザ地区からイスラエル中部や南部に向けてロケット集中砲火で反撃した。テルアビブ近郊の都市ラマットガン中心部ではロケット弾2発が着弾し、1人が死亡した。

 イスラエルとパレスチナの関係悪化を受け、ロケット弾の発射を警戒する各国の航空会社は、イスラエルへの航空便の運航を中止した。運航はイスラエルの航空会社のみとなる。

 ガザ地区に近いイスラエルの町では連日、空襲警報が鳴りやまず、1日に何度も防空シェルターに駆け込む事態となっており、北部地域へ避難している住民もいる。

 交戦が始まった10日以降、ガザ地区ではこれまでに181人が死亡。イスラエルでは10人が死亡しており、双方の死者は合わせて190人を超えた。

 イスラエル軍は、ガザ地区から発射されたロケット弾のうち同地区内に落下したものが、パレスチナの民間人に犠牲者を出していると主張している。

 これまでにガザ地区からは、約2500発のロケット弾が発射され、レバノンやシリアからも数発が発射されている。

(エルサレム・森田貴裕)