イスラエル 首相続投が争点、来年3月総選挙


リクード 右派新党と対決へ

 イスラエルの国会(定数120)が23日に解散した。政局が混乱する中、来年3月23日に2年間で4度目の総選挙が行われる。最大の争点は、汚職や不正の疑惑で起訴されたネタニヤフ首相の続投か否かだ。ネタニヤフ氏が率いる右派リクードと新たに結成された右派新党とが対決する形になると予想される。

イスラエルのネタニヤフ首相=22日、エルサレム(EPA時事)

イスラエルのネタニヤフ首相=22日、エルサレム(EPA時事)

 解散の原因は、期限内に予算を成立させられなかったことだが、既にリクード内では、ネタニヤフ氏に対し、自身の生き残りのために予算案成立を先延ばしにし、政治危機を起こしたとの批判が拡大していた。以前からネタニヤフ氏の党首の辞任を求め、今月初めにリクードを離党したサール元内相は8日に右派新党「新たな希望」の結成を発表。リクードの一部議員は離党し「新たな希望」に加わる意向を表明している。

 イスラエル紙エルサレム・ポスト(電子版)が24日に報じたところによると、最新の世論調査では、リクードが25議席で首位を維持し、サール元内相の新党「新たな希望」が22議席で続くと予想されている。ネタニヤフ氏のアラブ諸国との国交正常化を実現させた政治手腕への評価もあり、リクードへの支持は揺らいでいない。

 一方、ネタニヤフ氏打倒を掲げながらも連立政権に加わったガンツ氏の中道政党連合「青と白」への支持は急落した。新党のサール氏はリクードと連立はしないと明言しており、ネタニヤフ氏が右派や宗教政党と連立し、過半数を確保できるかは不透明だ。

 イスラエルは新型コロナウイルスの新規感染者急増により第3波が押し寄せ、27日から3度目のロックダウン(都市封鎖)を実施する。20日に新型コロナワクチンの接種を開始したが、連立政権のコロナ対策に対する国民の不満は強く、今後のコロナ感染状況が選挙結果を左右する可能性もある。

(エルサレム 森田貴裕)