イスラエル・UAE合意 中東の経済・技術発展にプラス
予想されるイランの妨害
米国が仲介したイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化の合意により、イスラエルの国際的、戦略的地位は飛躍的に引き上げられ、中東地域が経済・科学技術面で大きな発展を遂げる扉が開いた。また、中東のアラブ・イスラム諸国の中心に位置するイスラエルの存在の正当性を高める歴史的な出来事となった。
ただ、この合意をあらゆる手段を使って弱体化させようとする二つの敵対勢力がある。一つはイランだ。イランにとって、UAE、特にアブダビとの関係は極めて重要である。裏取引による石油貿易や重要な国際貿易のほとんどはアブダビを通過しているからだ。合意には技術協力も含まれることから、イスラエルに多くの面で戦略的優位性がもたらされることになり、イランにとっては脅威となる。
もう一つの敵対勢力は、パレスチナである。パレスチナは他のイスラム諸国がこのイニシアチブに参加するのを阻止しようとするだろう。
UAEの軍事力はペルシャ湾で大きな影響力があり、イスラエルとの軍事協力によりその影響力は増すと予想される。それはイスラエル側にも言えることだ。
経済協力は重要な鍵であり、イスラエルの技術革新に対するUAEの資金提供は、両国に利益をもたらし、中東地域全域にプラスの影響を与えるとみられる。
湾岸諸国は、イランが代理武装組織を利用して中東地域で覇権を握ることを恐れている。米国が中東での軍事的関与を減らし、イランへの経済的圧力に集中する方針に懸念を強めている。米軍の撤退によって生まれた空白を埋めるため、イスラエルは今、アラブ諸国から歓迎される立場となった。