イスラエルがシリアのイラン革命防衛隊本部を攻撃
ロケット弾発射に報復
イスラエル軍は20日、前日にシリアからロケット弾が発射された報復として、シリア領内に展開するイラン革命防衛隊の精鋭部隊である「クッズ部隊」に属する地対空ミサイル、武器倉庫、軍事基地を含む数十カ所を標的に大規模な攻撃を行ったと発表した。攻撃の中心的標的の一つには、ダマスカスのイラン革命防衛隊の本部も含まれたという。イスラエルとイランの攻防が続いている。(エルサレム・森田貴裕)
ガザでも過激組織幹部ら殺害
19日早朝、シリアからイスラエルのゴラン高原へ向けロケット弾4発が発射された。イスラエル軍のミサイル防衛システム・アイアンドームがすべてを迎撃したので、イスラエル側に被害はなかった。イスラエル軍は、クッズ部隊の支援の下、シリアのシーア派民兵によってダマスカスの南からロケット弾が発射されたとみている。イランによるイスラエルへの攻撃は、2018年2月以来、これで6回目となった。
イスラエルの殲滅(せんめつ)を掲げるイランは、イスラエルの隣国であるシリアに本部を置き、レバノンのイラン系イスラム教シーア派過激派民兵組織ヒズボラを支援。ガザ地区では、イスラム根本主義過激派組織イスラム聖戦に資金、武器、専門知識を供給している。
イスラエルのネタニヤフ首相は、最近の中東全域でのイランの進出について一連の警告を発するとともに、「われわれに害を与える者は、誰であろうとわれわれが害を与えるだろう。それが今夜われわれが取った行動だ」と強調し、イスラエルの安全を積極的に守り続けると述べた。
在英のシリア人権監視団によると、イスラエル軍の攻撃で、イラン人とみられる外国人7人を含む少なくとも23人が死亡した。
シリアからロケット弾が発射されるちょうど1週間前、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区だけでなく、隣国シリアの首都ダマスカスでも、イスラム聖戦の司令官や幹部の暗殺とみられる作戦を行った。
イスラエル軍は12日未明、パレスチナ自治区ガザ地区で空爆を行い、イスラム聖戦のアブアタ司令官を含む10人が死亡した。同司令官は最近、ガザ地区からのロケット弾攻撃を指揮し、イスラエル軍や市民を標的とするテロ攻撃に向け、戦闘員の訓練を進めていたという。
隣国シリアの首都ダマスカスでも12日未明、イスラム聖戦の幹部アジョウリ氏の自宅が空爆を受け、息子とボディーガードの2人が死亡、同幹部の娘を含む6人が負傷した。報道によると、航空機からミサイル2発が撃ち込まれ、首都のメッツェ地区のレバノン大使館に隣接する民間の建物が爆破されたという。
パレスチナのイスラム聖戦はイスラエルの仕業だと非難。「ネタニヤフ首相は高い代償を支払うことになるだろう」と述べ、報復を予告する声明を発表した。
イスラム聖戦は12日、ガザ地区から70㌔離れた商業都市テルアビブやガザ地区に近い南部地域に向けて多数のロケット弾を発射した。
迎撃成功率90%を誇るイスラエル軍のアイアンドームがロケット弾を迎撃した。テルアビブやガザ地区に近い南部地域にある全ての学校や職場は閉鎖された。
イスラエル軍は報復として、イスラム聖戦の軍事施設などに空爆を行い、双方による激しい攻撃の応酬となった。
2日間の激しい戦闘の後、イスラム聖戦側から停戦の申し出があり、イスラエルとイスラム聖戦の双方は14日朝に停戦を発表した。
2日間で、ガザ地区から合計450発のロケット弾がイスラエルへ向け発射された。イスラエル軍は、イスラム聖戦の標的に対して数十回の攻撃を行い、ロケット発射拠点、軍事基地、武器庫、軍事訓練施設、艦艇、地下トンネル、監視塔などを破壊した。
イスラエル軍は、「ブラックベルト(黒帯)作戦」と名付けられた作戦の目標は、50時間ですべて達成されたと発表した。
停戦後も、イスラエル南部に向けてロケット弾が発射されたが、ミサイル防衛システムが迎撃した。






