北朝鮮、ミサイル防衛突破狙う


米議会調査局が報告

 北朝鮮は、弾道ミサイル試射を何度も行うことで、韓国と日本を防衛するために配備される米国の防衛システムを突破する能力を備えようとしている。米議会調査局が議会への報告で明らかにした。

 北朝鮮はさまざまな弾道ミサイルの試験発射を繰り返し行っている。有事には、米国の同盟国、日本と韓国を攻撃できる小型核弾頭を搭載することが可能だ。

 米軍はこの脅威に対応するため、まず地対空誘導弾パトリオットを配備、次いでさらに射程が長く、移動式の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を発表した。

 だが、北朝鮮はこの動きに対応する動きをしているとみられている。

 議会調査局の報告は、北朝鮮は昨年、迎撃を回避するためにあえて高い高度に正確にミサイルを打ち上げたと指摘している。その結果、大気圏に再突入する弾頭は、急角度、高速で進入し「ミサイル防衛システムでの迎撃が困難になる可能性がある」という。

 また、「北朝鮮は比較的短い時間内に多数のミサイルを一斉に発射する能力があることも示した」と指摘した。

 北朝鮮は2015年に最初の潜水艦発射ミサイル(SLBM)の試射を行っており、SLBMによってTHAADのレーダーカバー領域の外から韓国を攻撃することが可能となる。

 北朝鮮がミサイル試射を繰り返すのは、ただ戦力をアピールするためだけではないと報告は指摘、アナリストのスティーブン・ヒルドレス、メアリー・べス・ニキーチン両氏は「弾道ミサイル戦力の信頼性、効果、残存性の向上を狙っている可能性がある」と指摘している。

 報告は、北朝鮮が開発の速度を速めていることについて、「信頼性の高い地域核戦争能力を確立しようとしている可能性がある。そうすることで、自国防衛のための抑止力を強化することが可能になる」と結論付けている。

(ワシントン・タイムズ特約)