北朝鮮でも感染の可能性


米専門家 強権で拡大を阻止か

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が進む中、北朝鮮が感染者ゼロと主張していることについて、専門家の間でさまざまな見方が出ている。

 北朝鮮は経済制裁が科される中、輸入のほとんどを中国に頼っている。

 在韓米軍のエイブラムス司令官は今月初め、北朝鮮の発表について「これまで見た情報すべてから、そのようなことは不可能だ」と、否定的な見方を表明し波紋を呼んだ。

 同氏によると、北朝鮮軍は2月から3月の初めにかけて約30日間「封鎖」され、さらに「北朝鮮は国境の通過に極めて厳しい措置を取った。これは感染拡大のために他の国が取っている措置と同じだ」と指摘、北朝鮮でも感染はあった可能性を指摘した。

 また、強力な対応と独裁体制が、大規模な感染拡大を阻止したのではないかとみる専門家もいる。

 ハーバード大学医学大学院の講師で、韓米医学協会韓国計画の所長キー・パーク氏は14日、米国平和研究所(USIP)のビデオ会見で、北朝鮮は1月に直ちに中国国境を封鎖し、国境の中国側での感染例は250件以下であることを明らかにした。

 同氏は「北朝鮮が、新型コロナが国境を越えるのを阻止することに成功した可能性はあると思う」と述べた。

 一方でパーク氏は、北朝鮮で感染が発生する可能性は依然としてあると指摘、北朝鮮の人工呼吸器の数は「50以下」との見方を示し、「最悪の場合、北朝鮮の死者数は15万人を超える可能性もある」と主張した。

 シンクタンク民主主義防衛財団の北朝鮮上級アナリスト、デービッド・マクスウェル氏は同じ会見で、大規模な感染が起きていないのは、「国民に対する非常に厳しい管理体制と非人道的な警備体制がある」からだと指摘した。

 「何が起きているかは分からない」とした上で、約200人の北朝鮮兵と4人の軍医が新型コロナと似た症状で死亡したと報じられていることに言及。

 北朝鮮で感染爆発が起き、統制が取れなくなれば、「中国、韓国、さらには日本に難民が押し寄せる可能性がある。北朝鮮は大量破壊兵器が大量にあり、体制の不安定化、崩壊による非常に複雑な状況に備えておく必要がある」と警告した。

(ワシントン・タイムズ特約)