中国、新型ICBM試射 トランプ氏訪中直前に

ビル・ガーツ

 米国防当局者は、トランプ大統領の訪中の直前に中国が新型長距離ミサイルの試験発射を行っていたことを明らかにした。発射されたのは新型大陸間弾道弾(ICBM)DF41。複数弾頭を搭載可能とみられ、米情報当局によると中国北部の発射場から西部の砂漠内の着弾地域まで飛行した。試射が行われたのは11月6日だが、トランプ氏と習近平国家主席との会談への影響を回避するため、米政府は公表を控えていた。

 中国は、ミサイルなどの新型兵器を使って、国内外に向けて政治的メッセージを発することがよくある。

 中国の主要勢力の一つ人民解放軍に対しては、トランプ氏が訪中するが、米国は依然、中国にとっての最大の敵国であることを示す狙いがあるとみられる。

 そのほかの要因としては、フロリダ州での米中首脳会談中に米国がシリアに巡航ミサイルを撃ち込んだことに対する政治的報復の意味合いがあるという見方もある。米国は習氏がトランプ氏の別荘マールアラーゴ滞在中にシリアの化学兵器使用に対する報復として空軍基地を攻撃した。米国は軍事力の使用をためらわないことを示すためだったとみられている。

 しかし、DF41の試射は、米中どちらからも公表されなかった。

 DF41の試射はこれで9回目となり、中国が強力な核兵器の開発に意欲的に取り組んでいることを示している。

 中国メディアの報道によると、DF41は最大10発の150㌔㌧弾頭または、5・5メガ㌧の弾頭1発を搭載できる。

 国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー上級研究員は、「中国がトランプ氏の訪問直前にDF41の試射を行ったことで、中米関係の根底にある敵対関係を大統領自身が目の当たりにした。アジアでの米軍強化と、アジアの同盟国、友好国との軍事協力関係の強化という大統領の考えの正当性の裏付けともなる」と語った。

 首脳会談後の18日、中国共産党機関紙、人民日報は、異例のツイートを投稿し、新型DF41とする動画を公開。「中国の最新大陸間弾道弾(ICBM)であり、10発の核弾頭を搭載できる。射程は1万2000㌔」と説明した。