トルドー首相の人権発言にドゥテルテ比大統領が反発
フィリピンのマニラ首都圏で、東南アジア諸国連合(ASEAN)と関連国の首脳会議に出席したカナダのトルドー首相が、麻薬戦争の人権問題を指摘したことをめぐり、ドゥテルテ大統領が強く反発している。
一連の会合を受け、14日に議長国としてドゥテルテ氏は記者会見。トルドー氏との会談に関して人権問題についての質問に、「個人的、公的な侮辱だ」と強い不快感を示した上で、「外国人はフィリピン国内での出来事を正確に把握していない」と反論した。
ここでドゥテルテ氏は、人権団体などが主張する超法規的殺人の実態を改めて否定。さらに、「私はフィリピン国民によって選出されたので国民には答える義務があるが、外国人には答える筋合いはない」と述べ、今後も説明を拒否する姿勢を明確にした。
トルドー氏はドゥテルテ氏との会談で、超法規的殺人をめぐるカナダ政府の懸念を伝えると公言し注目を集めていた。
一方、ドゥテルテ氏との初会談で、人権問題への言及に注目が集まっていた米国のトランプ大統領は、オバマ前大統領との間で冷え切った米比関係の改善を優先。人権団体からの要請にもかかわらず、会談では人権問題は取り上げられなかった。
今回の米比首脳会談をめぐっては、ドゥテルテ氏の面子を重視してトラブルを避けるあまり、人権問題や南シナ海の領有権問題などの議論を避けるなど疑問視する声も上がっている。
(マニラ・福島純一)