米国の先端技術狙う中国
中国は、先端技術を手に入れるために米企業との協力を強めている。主要技術大国になるための取り組みの一環だ。
米情報当局者は、このところの中国の米企業への接近について「全国的に推進する経済改革の一環として、米国の企業、研究機関との技術協力をいっそう強めようとしている」と分析。
「中国は、国家主導の技術獲得への取り組みに対する懸念の打ち消しに躍起だ。技術の獲得によって、自国に有利な環境をつくり出し、技術移転を実行し、外国企業の中国市場への参入を制限し、米国などの企業に対抗しようとしているとみられているからだ」と指摘した。
これに対しトランプ政権は、米国の技術を盗み出そうとする中国を阻止しようとしている。トランプ大統領は8月、中国による米国の知的財産権への侵害の調査を命じた。また、財務省の対米外国投資委員会(CFIUS)は、中国による米企業買収への規制を強化した。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表はその1カ月後、「中国は国を挙げて、経済を成長させ、補助金を出し、国家的な大企業をつくり出し、技術移転を促進し、世界中の市場を混乱させようとしている」と指摘、中国は世界の貿易体制にとってかつてないほどの脅威だと警鐘を鳴らした。
米情報当局者はさらに、中国の習近平国家主席が急速に権力を強め、月内に実施される共産党大会を前に、「反対勢力への締め付けを強め、連帯を演出しようとしている」と訴えた。
この当局者によると、中国の指導者らは、米国主導の世界秩序を覆そうとしており、とりわけ、米国中心の同盟の弱体化を目指している。中国の指導部は、現在の世界秩序を「台頭する中国への封じ込め」とみなし、その世界秩序を、中国の影響力拡大に合わせて再構築しようとしているという。
さらに、軍事面でも中国は急速に近代化を進めており、「中国の指導部は、強い軍は、中国が大国の地位を獲得し、東アジア一の大国になり、世界的にも影響力を増すためには欠かせないと考えている」と強調した。