「道徳的報道」で信頼回復を-世界平和言論人会議


世界平和言論人会議で講演するワシントン・タイムズ社のクリス・ドーラン社長 =2日午後、韓国ソウル市内のホテル

世界日報・WT・セゲイルボ共催

 世界日報と姉妹紙の韓国紙セゲイルボ、米紙ワシントン・タイムズとの3社共催でソウルで開かれた「世界平和言論人会議」では、現代のメディアが直面する課題について活発な意見が交わされた。中でも、既存の大手メディアが公正さを欠いた報道で「フェイクニュース」と批判されるなど、国民の信頼を失っている状況に対し、道徳的な報道でメディアの本来の役割を果たすことが急務であるとの認識で一致した。

 「フェイクニュースがジャーナリズムを助けている」――。英イノベーション・メディア・コンサルティング・グループのフワン・セニョール社長からは、こんな意見が飛び出した。

 インターネットの登場で既存メディアの経営基盤が揺らぐ中、現在のメディア業界にはアクセスを増やすことを優先し、読者を引き付けるセンセーショナルな報道に偏る傾向が見られるというのだ。だが、こうした報道はメディアへの信頼を低下させ、読者を遠ざけるという「悪循環」(セニョール氏)をもたらしている。

 米国では大手メディアをフェイクニュースと呼ぶトランプ大統領の発言が大きな注目を集めているが、ワシントン・タイムズ紙のクリストファー・ドーラン社長は「米国の若いジャーナリストの間では、事実を報道するより主張する傾向が強まっている」と指摘。「われわれの役割は情報をいかに正しく伝えるかだ」と述べ、報道機関は本来の役割に立ち返る必要があると主張した。

 衝撃的だったのは、中米ホンジュラスで腐敗防止を訴える政党を立ち上げ、大統領選にも出馬したジャーナリストのサルバドール・ナスラーラ氏の報告だ。メディア自体が政治家からお金を受け取るなど腐敗しており、「フェイクニュースどころか、真っ赤な嘘(うそ)を流している」と批判した。

 フェイクニュースが世界的な問題となる中、ワシントン・タイムズ・ジャパンの渡瀬裕哉エグゼクティブ・ディレクターは、ファクトの提示や過度の扇動的表現の自粛など「インターネット上における情報発信に関する倫理ガイドラインを作成」することを提案。また、「情報の受け手の評価能力を向上させる」ことで、「情報のコミュニケーション自体の質を上げていくことが必要だ」と訴えた。

 中国報道で著名なワシントン・タイムズ紙のビル・ガーツ記者は、中国共産党は世界に対して情報戦争を仕掛けていると主張。中国政府が湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスについて十分な情報を開示していなかったことを挙げながら、「自由な言論は民主主義、法治、人権を守るために極めて重要だ」と強調した。

 会議で設立された「国際平和言論人協会」(IMAP)は今後、「独立し、社会的責任を担い、道徳的な報道機関を促進」するための活動を展開していくという。

(ソウル世界サミット取材班)

技術革新にどう対応

米紙ワシントン・タイムズ トーマス・マクデビット会長

トーマス・マクデビット会長

 

 われわれが(国際平和言論人協会に)1万人あるいは1万5000人の言論人を世界中から結集させることができれば、ジャーナリズムの世界に新しいパラダイムを導入しようという試みは達成されるだろう。その皮切りとなる今日の会議に参加してくれたことに感謝したい。
 現代のジャーナリズムが抱える問題、特に破壊的なイノベーションの問題に対し、さまざまなものを結び付けて世界に新しい内容を届けるために、われわれが何をしなければいけないか考えていきたい。

言論人の連帯強固に

韓国紙セゲイルボ 鄭熙澤社長

鄭熙澤社長

 

 インターネット、モバイルを通して各種情報が光の速度で伝播(でんぱ)される。このような情報が平和、和解をもたらすならばどれだけ良いだろうか。しかし、葛藤の火種となり、隣人間、国民間、国家間の不信が障壁を積む要因となる事例が少なくない。このような時だからこそ、言論の使命と責任感が重要だ。
 われわれ言論人は平和を熱望するすべての人々と知恵を集め、地球村時代に人類大家族の理想を具現するために先頭に立たなければならない。きょう発足する国際平和言論人協会を土台に、言論の自由と責任、真なる価値観の創立と拡散のために、言論人の連帯と友情がより固くなることを期待する。

「三権」超える役割を

世界日報 黒木正博社長

黒木正博社長

 

 世界に拡大する新型コロナウイルスの問題だけでなく、米中関係、北朝鮮の核・ミサイル問題、さらにトランプ米大統領が提案した中東和平問題など世界的な諸課題に対して言論人がどういう役割を果たすかを議論する重要な機会と確信する。
 既存のメディア自身も、インターネットの顕著な発展もあってその信頼と役割が厳しく問われている。その在り方についても真摯(しんし)な反省が必要であり、「国際平和言論人協会」(IMAP)の発足はその大きな契機となるだろう。

 今や人知の力だけでは解決困難な事態に対し、人知の象徴である「三権」を超えていける「言論」が主導的な役割を果たすことが急務だ。