高度な自治は独立ではない 民建連副主席 蔣麗芸氏
揺れる香港 各派リーダーに聞く(2)
香港立法会(議会=定数70)で最多の13議席を占める親中派政党・民主建港協進連盟(民建連)で副主席を務める蔣麗芸立法会議員に学生団体らの占拠デモや立法会での動向を聞いた。(聞き手=深川耕治、写真も)

1955年5月、香港生まれ。原籍は中国山東省。震雄集団を創立した実業家の父・蔣震氏の次女でカナダ・コンコルディア大学卒。香港中文大学修士、中国社会科学院法学博士。仲良集団理事長で2012年から親中派政党・民主建港協進連盟(民建連)の立法会議員(九竜西区)。民建連副主席。
――警官隊は当初、催涙弾87発をデモ隊に浴びせ、催涙スプレーを使用して批判を受けたが、違法占拠するデモ隊に対して強制退去の手段を使わないのは国際的なイメージ悪化を憂慮しているからか。
警官隊の催涙弾使用は経験が浅く、住民の批判を強めたので結果として良くなかった。警官隊が強制退去を実行すると、デモ隊からの反作用が激しい。占拠を開始した当初、金鐘(アドミラルティー)エリアでは500~600人が寝泊まりしていたが、最近では数十人しか寝泊まりしていない。さらに衰退した時点で必ず強制退去を執行する。
――学生らが9月28日から継続する雨傘革命と呼ばれる占拠デモは、中国国営新華社通信、中国共産党機関紙・人民日報が批判する中・東欧や中央アジアの旧ソ連圏で親米勢力が政権を覆した「カラー革命」になぞらえた「革命」なのか。董建華香港初代行政長官(全国政治協商会議副主席)の言う通り、「革命ではない」のか。
雨傘革命という表現であれば、現政権を転覆させると言う意味となり、実際に梁振英香港行政長官ら政府幹部3人の辞任を要求しているという点では革命と解釈できる。理想では革命しようとしているが、現実的には革命できるだけの能力はないということだ。
――香港の3エリアで続く占拠デモは参加者たちが違法性を自覚して自首という形で完全撤退すべきだとの意見も出てきているが、どうみるか。
雨傘運動という形の占拠デモは政府へ集会申請しても許可されておらず、幹線道路を麻痺(まひ)させているので明らかに違法だ。香港高等法院(高裁に相当)も学生らの道路占拠は違法との判断を下し、自宅へ帰るように命じている。学生たちは今なお自首論議をしていることからみても、違法性を自覚、認識しているということだ。
――董建華初代行政長官が10日にシンクタンクを立ち上げる予定で、メンバーに入る梁錦松(アントニー・リョン)元財政官を次期行政長官候補として中国政府が準備しているとの見方もある。
次期行政長官候補に梁錦松氏が立候補する可能性は十分にある。香港トップの行政長官は特定の政党に入っていない立場の方が支持を幅広く得られるからだ。
――全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で決定した香港行政長官の普通選挙改革案についてどう展望するか。
現状では法案通過に必要な議会の3分の2以上となる賛成票47を得るのは困難だが、通過させたい。世論調査では法案通過に賛成が55%に達し、議会決議が近づくと27議席ある民主派議員内でも法案賛成派が出てくる可能性がある。
――雨傘革命を主導する学生団体リーダーについて中国政府は香港独立派と批判している。
香港の一国二制度は高度な自治が認められていても、完全な自治ではない。香港大学生連合会(学連)など学生団体は完全な自治を目指しているので、これでは母国・中国から分離してしまうので独立派とみられても仕方がない。





