子宮頸がんワクチンは「単に感染遅らすだけ」の声
予防という名の人体実験
「子宮頸がんワクチン被害」を追う(6)
JR御茶ノ水駅の改札を出ると、右手に東京医科歯科大学、順天堂大学医学部の威圧的な建物が神田川に沿ってそびえ立つ。
そこから少し裏手に入った場所にこぢんまりと立つ全労連会館で11月24日、「『子宮頸(けい)がん予防』ワクチンの必要性・安全性・有効性」と題したシンポジウムが開かれた。
最初の講師は隈本(くまもと)邦彦江戸川大学教授(メディアコミュニケーション学部)。NHKの厚生労働省担当記者だった経験を生かし、専門的な見地から子宮頸がんワクチンの効果について衝撃的な内容を明らかにした。
子供たちが接種しているワクチンの製造元は、英製薬会社「グラクソスミスクライン」。そのワクチン「サーバリックス」は、がんリスクを持つ16、18型ヒトパピローマウイルス(HPV)を排除する効果が期待されている。
それは、ワクチンの中にアジュバント(免疫増強剤)を入れ、この二つのHPVに対して強い抗体効果を保持させているためだ。
同社の媒体資料でも、二つのHPVを排除できるレベルの抗体効果があることをグラフで示している。
人間の体はHPVを含め、体が自然にウイルスに感染することでも免疫力を保持するようになる。その後は、その抗体効果で対処できるが、HPVについては、自然感染による抗体価では弱すぎるとされる。
従って、子宮頸がんワクチンは、自然感染による抗体価より高い値を維持させ、16、18型の侵入を完全に排除し、持続感染を防ぐという考え方に立つ。
グラフでは、接種直後の数カ月、体が高い抗体価を保持しているものの、それが次第に低下していくことが分かる。
それでも、自然感染でできる抗体価より高いレベルを維持していれば効果があるとの認識だ。
しかし、隈本氏によると、その効果は個人差があり、あくまで引かれているグラフのラインはその平均値。また、自然感染でできる抗体価のレベル自体も、本当は明確でないという。
同ワクチンは、接種後、何年効果が持続するかをめぐり不明な点が多い。2009年末の導入当初、6年といわれていたが、添付文書には、海外臨床成績として9・4年と書かれている。
だが、個人差で効果が大きく異なるとなれば、軽々に効果の年限を述べることはできない。さらに自然感染による抗体価が不明ならば、それを上回っている年月が9・4年というのも仮説にすぎないことになる。
こうした点を踏まえ、隈本教授は「子宮頸がんワクチンは、単に感染を遅らせるだけかもしれない」と述べた。
その上で「普通のワクチンは、インフルエンザのように、局所感染はするが、病気が重症化したり死亡するのを防ぐ。よいワクチンは麻疹のように局所感染はするが、その病気が発病するのを防ぐ。子宮頸がんワクチンの目標は、局所感染そのものを一生防ぎ続けること」とし、「ハードルがあまりに高すぎる」と指摘した。
(山本 彰)