安倍内閣改造、令和の国づくりへ果敢に挑め
第4次安倍再改造内閣が発足した。麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官を留任させて「骨格」を維持しつつ、自らに近い議員を多数起用し、初入閣組は13人となった。
首相は「安定と挑戦の内閣」と銘打ったが、内政・外交共に重要課題は山積しており、令和の新しい国づくりに向けて果敢に挑んでもらいたい。
政権の安定基盤を維持
今回の内閣改造の特徴は、政権の骨格を維持して安定基盤の維持を重視したことだ。加藤勝信厚生労働相や高市早苗総務相を再登板させたことに加え、原則重視で交渉にタフと評価される茂木敏充外相と河野太郎防衛相を横滑りさせたことも安定感を増している。
一方、自民党人事で二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長を留任させた。これらは自らの後継を意識して互いに切磋琢磨(せっさたくま)させて政権への求心力を強めるという首相の思惑の表れだろう。
首相が参院選の結果を受けて最も前に進めたいのが憲法改正の議論だ。「議論を進めるのか否かについて国民の信を得た」とする首相は「困難な挑戦だが改憲は必ず成し遂げる」と語った。そのためには憲法審査会で自民党が指導力を発揮していかねばならない。
参院選では改憲勢力が3分の2を割り、参院で野党の協力を得ることが不可欠となった。参院幹事長に側近の世耕弘成氏を起用したことはその対策の一環だろう。野党側も国民投票法改正案の審議を入り口に、改憲の中身についても踏み込んだ議論をスタートさせるべきだ。
環境相に党内きっての人気弁士でもある小泉進次郎氏を抜擢(ばってき)したことも特徴の一つである。新しい国づくりに挑戦していくために必要な若い人材ということだが、政権浮揚の切り札になることは間違いない。
ただ、小泉氏はこれまで「党内で多様な意見が言える環境が大事だ」などとし、党総裁選では過去2回、石破茂元幹事長に投票してきた。発信力が強くても安倍内閣の一員としての成果を挙げられなければ野党からの攻撃は避けられない。小泉氏はそのことを覚悟して実績を積み重ねなければならない。
待ったなしの課題は山積している。内政では、国民の負担増を求める議論が避けられない社会保障改革にどう取り組むのか。首相は「全世代型社会保障」構築に向けて新たな会議を近く発足させる方針を表明したが、野党の反発が必至の情勢の中で強いリーダーシップを発揮することが求められる。
「戦後外交の総決算」を掲げる首相にとって対露外交のアプローチは正しいのか。北方領土問題の解決に向けて原則を曲げての交渉があってはならない。北朝鮮による拉致問題も行き詰まっている。日韓関係も改善への糸口は見えない。北朝鮮との非核化をめぐる交渉でトランプ米大統領を支えてきたボルトン大統領補佐官が解任されたことでの米外交の変化の兆しも慎重に分析していかねばならない。
驕らず着実に対処を
11月20日には桂太郎を抜いて歴代最長の通算在職日数となる首相だが、驕(おご)らず着実に懸案に対処してもらいたい。