日米同盟、地域の平和へ結束強化を


 令和初の国賓として4日間の日程で来日したトランプ米大統領は最終日、安倍晋三首相と共に海上自衛隊横須賀基地(神奈川県横須賀市)を訪れ、停泊中のいずも型護衛艦「かが」に乗艦した。

 米大統領の自衛艦乗艦や、日米首脳がそろって自衛隊と米軍を激励するのは初めて。日米同盟における新たな段階を示した場面だと言える。

F35を147機購入

 首相とトランプ氏は、日米の隊員約500人を前に訓示。インド太平洋地域で海洋進出を進める中国や、弾道ミサイルの発射などで脅威が増す北朝鮮を念頭に、日米同盟の重要性を強調した。

 首相は「日米同盟は私とトランプ大統領の下で、これまでになく強固になった。われわれが並んで立っていることがその証しだ」と力説。トランプ氏は、横須賀港について「米海軍艦隊と同盟国の海軍艦隊が並んで司令部を置く世界で唯一の港だ。われわれのパートナーシップの永続的な力の生きた証しだ」と訴えた。

 日米同盟は、地域の平和と安定に寄与する公共財だ。両国は常に結束を確認しなければならない。

 両首脳は、かがが事実上の空母に改修され、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの搭載が可能となることに言及。改修されれば「洋上の航空基地」として、有事にはF35Bが精密誘導爆弾で空爆できる打撃力を備えることになる。日本政府はF35を計147機購入することを決定している。

 中国はウクライナから購入した船体を改修した初の空母「遼寧」を2012年に就役させた。遼寧を基に建造した初の国産空母も年内に就役する予定で、3隻目も建造中だ。海軍力の増強によって覇権主義的な動きを強めることが懸念される。

 かがと同じいずも型護衛艦で、やはり空母に改修される「いずも」は17年、安全保障関連法に基づき、初めて米艦防護を実施した。また、先月には九州西方の東シナ海から南シナ海で、米国、インド、フィリピンと共同訓練を行った。

 日米印比の共同訓練は初めてで、中国を牽制(けんせい)する狙いがあろう。空母化によって、いずもとかがが日米同盟強化に大きく貢献するとともに安倍政権が提唱する「自由で開かれたインド太平洋構想」を支える存在となることを期待したい。

 トランプ氏はかがを視察した後、ヘリコプターで同じ横須賀港の米軍強襲揚陸艦「ワスプ」に移り、米兵を前に「私たちには力による平和が必要だ」と演説。「世界最強」の米軍が地域や地球規模の安全保障に寄与していくと強調した。

 インド太平洋地域では、中国の海洋進出に対し、日米やオーストラリア、インドの連携強化が重要となる。

新たな時代の在り方を

 今回のトランプ氏の来日によって、日米両国の強い絆が改めて示された。

 日米同盟に関しては、日本の役割拡大を含め、新たな令和の時代にふさわしい在り方を追求すべきだ。