統一選前半戦、地域の魅力高める行政を
第19回統一地方選の11道府県知事選、6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選の投開票が行われた。
知事選は、北海道、神奈川、福井、三重、大阪、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分の11道府県、政令市長選は札幌、相模原、静岡、浜松、大阪、広島の6市で実施された。
大阪ダブル選で維新勝利
「大阪都構想」の是非が争点となった大阪府知事・市長ダブル選は、知事選では前大阪市長で地方政党「大阪維新の会」の公認候補の吉村洋文氏、市長選では前知事でやはり維新公認候補の松井一郎氏が、自民党が推薦する候補を破って初当選を果たした。
都構想は、大阪市を廃止して東京23区のような四つの特別区に再編し、インフラ整備などは大阪府、福祉や教育など住民に身近な行政サービスは特別区が担う構想だ。二重行政の解消で税金の無駄遣いをなくすことを目指す。
2015年5月には都構想の賛否を問う住民投票が行われ、僅差で否決された。とはいえ、今回の選挙結果からは都構想に対する府民の期待の大きさがうかがえる。吉村氏は「維新の改革を続け、都構想に再挑戦したい」と強調した。
大阪では6月に20カ国・地域(G20)首脳会議、25年には国際博覧会(万博)が開催される。こうした行事に加え、都構想の実現で大阪の活力を高め、東京一極集中の流れを変えることができるかが問われよう。
与野党全面対決となった北海道知事選は、自民、公明両党が推薦する前夕張市長の鈴木直道氏が、立憲民主など野党5党が推薦した元衆院議員の石川知裕氏を破って初当選した。
この選挙では、JR北海道の路線見直しやカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致、原発などが争点となった。路線見直し反対、IR誘致反対、脱原発を掲げた石川氏は、公約を実現するための具体的な展望を示せなかった。地方創生が大きな課題となる中、現実的な代案がなければ有権者の支持を得ることは難しいだろう。
今年は夏に参院選を控えており、統一地方選はその前哨戦と位置付けられている。5野党は北海道知事選で「統一候補」の石川氏を擁立したが、共闘は不発に終わった形で、参院選へ課題を残した。
一方、自民党も大阪ダブル選を落としたことで態勢立て直しが急がれるが、福岡県など4知事選で保守分裂となったことで党内にしこりの残ることが懸念されている。
21日には後半戦投開票
今回の統一地方選は平成で最後となる。5月には皇太子殿下が新天皇に即位され、令和の御代が始まる。地方では人口減少対策や経済活性化などが大きな課題となっているが、今回当選した候補者には新しい時代にふさわしい行政を実現して地域の魅力を高めていくことが求められる。
21日には、政令市以外の市区町村の首長と議員選挙の投開票が行われる。有権者も地方政治への関心を高め、各候補者の公約をよく吟味した上で投票に臨んでほしい。