通常国会後、政権一強は野党の自業自得だ
通常国会が32日の延長期間内に「働き方改革」関連法など重要法案を成立させて閉幕した後、秋の自民党総裁選に向け岸田文雄政調会長は安倍晋三首相の3選を支持すると表明した。
野党は安倍政権を「議会制民主主義の根幹を破壊した」などと批判するが、2021年までの長期安定政権になる可能性が高まりつつある。
「反安倍」闘争に終始
政府・与党は通常国会後半で成人年齢を18歳に引き下げる改正民法、環太平洋連携協定(TPP)関連法、働き方改革関連法、参院定数6増の改正公職選挙法、受動喫煙対策法、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法などを成立させた。
一方の野党は通常国会冒頭から、森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書の書き換え問題や、加計学園の獣医学部新設に首相周辺が関与した疑惑などを集中的に追及した。こうした問題は昨年来延々と取り上げてきたものだが、佐川宣寿元財務省理財局長の証人喚問や柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致を認めさせるなど、ある程度与党側を追い込んだ。
政治不信を煽(あお)ることで内閣支持率を数ポイント下げたが、立憲民主、国民民主、共産、社民、自由など野党各党の支持率もほとんど上昇していない。米朝首脳会談など国際情勢が動く中で、反安倍政権を掲げて一部マスコミ、国会外のデモ隊と連動するなど政治闘争を至上とする運動に終始した野党を国民は支持していない。
疑惑を取り上げる野党の目標は首相退陣だった。さらに首相に打撃を与えるため、重要閣僚の辞任や、森友問題に絡んで安倍首相の妻の昭恵氏の証人喚問などを求めた。そのピークが、麻生太郎財務相の辞任や柳瀬氏の証人喚問を要求しての18日間の審議拒否だ。
また、IR実施法が成立した20日に野党は「議会制民主主義の根幹を破壊した」などの理由で内閣不信任決議案を提出した。だが、「民主主義の根幹」とは話し合いで物事を決めるための信頼関係ではないのか。その意味で、与党側だけでなく不信任案を提出した野党側にも責任が問われるのだ。
与野党間の信頼関係がなく、議論が平行線をたどるため、重要法案を審議する時間が短くもなった。その原因の第一が、共産主義を展望する党綱領から安倍首相を「敵」と位置付ける共産党と他の野党が共闘を組むようになったことである。かつての国会では与野党による国対政治も機能していたが、共産党は抜きで行われていた。
もう一つの原因は、民進党の分裂・自壊で二大政党制の形が消えたことだ。共産党との共闘は再分裂の引き金にもなり野党「多弱」に輪を掛け、安倍政権への「反対」を競い合っている。
足の引っ張り合い猛省を
政権交代可能な二大政党制を実現するための小選挙区制度導入、首相官邸主導による政策決定など一連の改革が自民党一強を実らせた。
これは安倍政権のせいではない。現在の各野党に所属する議員たちがお互いに足の引っ張り合いをした結果だ。野党勢力の猛省を望みたい。