民進党都議選総括、「民共共闘」で敗北は明らかだ
民進党が11日から18日の間、東京都議会議員選挙を総括するための党内意見聴取を行っている。民進党は8年前の前々回都議選で民主党当時に54議席を獲得したのが5議席にまで落ち込み、凋落(ちょうらく)に歯止めがかからない。共産党に追随した「民共共闘」で埋没したのは明らかだ。
批判票の受け皿になれず
都議選で歴史的敗北を喫した自民党は敗因に「国政批判」を挙げた。しかし、野党第1党の民進党にも逆風だった。森友・加計学園問題や政治家の暴言・失言などに、選挙後の記者会見で民進党の蓮舫代表は「安倍内閣・自民党に対する怒りの声は、都民は相当持っていた」と指摘しながら、批判票の受け皿になれなかったことを認めた。
民主党当時に期待された2009年の前々回と、今回の違いの第一は共産党が誘った「民共共闘」に乗ったことだ。政権担当時代の党内抗争で首相が3人交代し、党が分裂した影響もいまだに否めないが、「民共共闘」で民進党は憲法改正、安保法制、テロ対策などに反対する左翼的な野党へと党の体質が変わった。反対野党を支持する左翼層の票は民進党よりも共産党に流れたと言えよう。
都議選は、小池百合子都知事が選挙中に党代表を務めた都民ファーストの会の大きな勝利となった。この現象は、かつて民主党が自民党に代わる勢力と期待された時代と相似している。
昨年の都知事選の自民党公認問題をめぐる分裂で、小池氏を応援した自民党地方議員への離党勧告や除名などの処分が発端となって、都民ファーストの会が旗揚げされた。ここに元みんなの党、自民党離党組、民進党離党組、新しい公募候補らが集い、都民ファーストの会は49人が当選、追加公認を含め55議席を得た。
民主党も、政権を担当した経験豊かな自民党離党組と、旧社会党、旧民社党、その他の新党出身者らが紆余(うよ)曲折の政界再編を経て合流し結党したが、保守路線と政・官・財界の癒着をチェックする革新勢力のコラボレーションが有権者に期待感を持たせたと言えよう。
ところが民主党は、一昨年の通常国会で安保法制をめぐる共産党などのデモ隊の声援を受けて「民共共闘」を選択、党名を民進党に変えて競った昨年の参院選では、共産党の票なくして当選できなかった議員が増えた。蓮舫代表による新体制でも共産党との協力を断ち切れないまま、憲法記念日や「テロ等準備罪」法反対集会などで共産党との共闘を演じている。
「民共共闘」に反対した保守系議員らは次々と党を離れた。都議選前には都連幹事長だった長島昭久衆院議員が離党。都議選候補者の離党も目立った。結局、民進党は議席も票も減らし、共産党は議席も得票も増やしており、「民共共闘」は共産党に有利であり、同党が将来革命を展望した統一戦線であることは明白だ。
共産と決別し現実路線を
民進党はまだ国会第2勢力である。まず、遅きに失しても次期衆院選の前に共産党と決別し、党内の保守路線を軸に政策を磨き、現実的な政権交代能力を示す必要がある。