蓮舫民進 疑問の船出、 くすぶる「二重国籍」
問われる党のガバナンス
「向かうべきは巨大与党だ。(政権与党として)選んでもらえる政党に立て直していく先頭に立ちたい」。15日に開催された民進党臨時大会で、白いスーツ姿の蓮舫新代表はこう強調した。
党支持率が一ケタ台であえぐ党勢を挽回する切り札として初の女性党首を選出した同党にとっては、「初の女性首相を目指す」と言って憚(はばか)らず、「発信力が高い」と評価のある“ジャンヌダルク”にすがるしかない、というのがホンネだろう。
だが、その期待とは裏腹に、出帆の冒頭から党は非常事態に陥っている。蓮舫代表自身の二重国籍問題が火種としてくすぶり続け、挙党態勢の構築に不安材料となっているからだ。
蓮舫氏は13日、日本国籍だけでなく台湾籍を現在も残したままであることを認め、謝罪に追い込まれた。しかも、それまでの対応では「台湾籍は抜いている」と発言したり、「確認が取れていない」と修正したり、「私の国籍は形式上中国。中国の国内法では外国籍を取得した者は自動的に喪失しているので、二重国籍にはならない」と語ったりするなど説明が二転三転したことで、疑惑が募った。
党内からは「首相になるかもしれない人が二重国籍を放置しておくのは、決定的な法律違反。党のガバナンスが問われている」などの批判が噴出。蓮舫氏の謝罪も、党員・サポーターによる郵便投票を締め切ったのと同じ13日に行われたため、蓮舫氏の真実を知らないまま投票した、として「代表選のやり直し」を求める声まで出た。また、代表選に出馬した前原誠司元外相と玉木雄一郎国対副委員長の両陣営は「蓮舫氏が問題を抱えたまま代表になれば党が崩壊しかねない」との危機感を強めた。
つまり、こうした声を無視して代表選を行ったことで、代表が二重国籍のままであることに加えて、代表選の正当性に疑問符が残り、臭いものにフタをしてしまおうという自浄能力のなさと、咄嗟の“党の有事”に対処できない危機管理能力の欠如が露呈してしまったのだ。「民進党は新たな船出をしたが、(沈没した)タイタニックかもしれない」と語る民進党議員もいるほどだ。
野党の中でも、日本維新の会などは「党代表がきちっと説明を果たさない状況で、他党、与党、政府にいろいろ注文を付けることには疑問を感じる」などとし、今月26日からの臨時国会で厳しく追及する考えだ。
蓮舫代表は16日、与党との対決布陣を形成するため、首相経験者の野田佳彦氏を幹事長に据えるという異例の人選をし、細野豪志元環境相に代表代行のポストを打診した。だが、いくらイメージを刷新しても、二重国籍問題を放置したままではいばらの道から逃れることはできない。新執行部の最初の課題は、党内の信頼を獲得することにある。
(民進党取材班)