「民共共闘」継続へ、 主体性欠く“アンチ”路線
「公党間の基本的枠組みの約束は重い。維持していく」。蓮舫代表は17日の民放番組で、次期衆院選での共産党との選挙協力について聞かれ、民共共闘路線を継続する考えを示した。だが、疑問なのは「『与党』対『野党』というシンプルな構図が一番、有権者には選んでいただきやすい」と平然と言ってのけたことだ。
有権者を引き付ける魅力ある民進党の建設を前面に打ち出すのではなく、スタート時点から野党共闘ありきの姿勢を打ち出したのである。「蓮根」(レンコン)として新代表を支えるという野田佳彦幹事長も「強い自民党、公明党連合軍にしっかり挑んで戦うには、野党間の連携は不可欠だ」とし、共産党などとの共闘に積極的な発言をし、共産党からは「共通政策をさらに豊かにしていくことも必要だ。前向きな合意をつくっていきたい」(小池晃書記局長)と歓迎されている。
確かに、7月の参院選では32の1人区で11勝と“善戦”したことから、次期衆院選の小選挙区(1人区)で共闘すればそれなりに善戦できないことはないだろう。だが、政権選択選挙である衆院選が、単に「与党」対「野党」の構図の戦いになるとすれば「蓮舫民進党らしさ」を発揮することはできまい。代表選で戦った前原誠司氏や戦わずに蓮舫氏の支援に回った細野豪志氏らは党再生の視点からもその路線に懐疑的なのだ。「綱領の違うところと連立(政権)を目指すことはない」(蓮舫代表)と言っても、政策協定を“豊かに”広げていけばいくほど、政権奪回に向け共産党が議席のキャスチングボートを握った際には毒まんじゅう(共産との連立)に手を出す可能性が大きくなるのだ。
そうならないためにも、民進党は憲法改正論議で積極姿勢を示すべきである。蓮舫代表は憲法審査会での議論に意欲を示しているが、9条の見直しには明確に反対している。一方、野田幹事長は自らを「新憲法制定論者」と呼び、自衛隊を憲法に位置付けることが持論だ。前原氏は9条に自衛隊の役割を「加憲」する案を提言した。単なる「アンチ安倍政党」にならないためにも、まずは党内意見の集約に指導力を発揮し提言をまとめることが必要だ。
新たに浮上したのが、蓮舫代表以外にも二重国籍議員がいるのではという疑問だ。有力支持団体・連合の神津里季生会長が16日の記者会見で「実は二重国籍だという議員が(他にも)結構いると聞く」と語ったのである。神津会長は、「あまり目くじらを立ててどうこうということではない」と述べ蓮舫代表の問題の鎮静化を図ったのだが、それは逆に民進党に対する信頼感の低下につながることになろう。
蓮舫代表が自らの二重国籍問題を本当に反省しているなら、党所属議員を徹底調査しその結果を公表すべきである。信頼回復はそこがスタートだ。
(民進党取材班)