民進党代表選、「民共共闘」見直しを明確に


 野党第1党・民進党の代表選が告示された。旧民主党が野党に転落後、4年近くに及ぶ低迷から、新たな党(民進党)に衣替えして党勢をどう立て直すのか。そのためのリーダーを蓮舫代表代行、前原誠司元外相、玉木雄一郎国対副委員長の3人から選ぶ。

 「安倍自民1強」の中で、強い野党第1党が誕生し、国益追求のため与党と切磋琢磨していく政治のあり様が望ましい。その期待に応えられるのか。各候補は存分に見解を表明し、違いを浮き彫りにしてもらいたい。

言語明瞭、意味不明瞭

 党勢立て直し策で最も聞きたいのは、次期衆院選で共産党との共闘をどうするのかだ。

 7月の参院選では32の1人区で共闘を実現。共産党は香川県以外の候補者をすべて降ろし、安全保障関連法廃止などを共通項に候補者を一本化した。

 この共闘を衆議院の小選挙区選挙でも続けるのか否か。蓮舫氏は「一定の評価がある」としながらも「まず私たちを立て直さなければいけない」と述べ言及を避けている。

 一方、保守派とされる前原氏や「リベラル保守」を標榜(ひょうぼう)する玉木氏も、「基本的考え方の違う政党とは一線を画す」などとし共産党主導の共闘に反対しながらも、自党主導であれば共闘はあり得ることを示唆している。それでは、自党主導とはどのような形なのか、それがはっきりしない。

 要するに3氏とも言語明瞭、意味不明瞭なのだ。政権選択選挙となる以上、憲法や「天皇制」、日米安保などの基本政策において民進党の考え方で一致しなければ決して自党主導とは言えず、共闘すれば「野合」批判を受けざるを得まい。つまり、「民共共闘」路線の見直しを明確にすべきなのだ。

 憲法改正についても十分ではない。3氏とも改憲論議を進めることには前向きという。岡田克也代表のような「安倍政権下では議論しない」といった党利党略の姿勢でないことは評価したい。ただ、蓮舫氏は自衛隊の意義を指摘しながらも9条改正はしないと主張した。それならば、他の章を立てるなどして自衛隊を盛り込むことは考えないのか。

 前原氏は「自衛隊の位置付けがない」とし9条に第3項を新設すべし、と一歩踏み込んだのはいい。ただ「保守層をしっかり取らないと政権交代はできない」と言うならば、他の条項も含めてもっと積極的に提案をしてもらいたい。

 また、玉木氏が改憲の論点として「憲法裁判所の設置」を挙げ憲法提言をすべきとした点は評価できる。一方で、「海外での自衛隊の武力行使を認めるような9条の改正には反対だ」と言うならば、どういう自衛隊であれば賛成で憲法にどう盛り込むかぐらいの自論を示してほしい。アベノミクスに対する経済政策についても各候補が対案を示して論戦をすべきだ。 

次選挙に臨む契機に

 玉木氏の参戦で注目度が上がった代表選は15日に投開票される。諸問題を丁寧に説明していくことでより多くの国民にも関心を持ってもらい次の選挙に臨む契機にしてほしい。