参院選公示、「民共」の枠組みは拒絶しよう


 第24回参院選の公示を迎えた。第2次安倍内閣発足以来3回目の本格的な国政選挙であり、参院選は2回目となる。今回の選挙は有権者が18歳以上とされた新しさが注目される一方で、自民党と政権を競い合ってきた民主党が著しく衰退し、党名を民進党に変えて共産党に依存した選挙態勢をとる奇策が行われている。健全な二大政党制を再び構築できるか、日本の進路を占う選挙となろう。

1人区で統一候補擁立

 今回の参院選は1票の格差是正のため選挙制度改革が行われて初めての選挙でもある。選挙区で1人区が増えて32となり、「鳥取・島根」「徳島・高知」は合区となった。都市への人口集中が是正されない結果でもあると指摘しなければならない。

 しかし、選挙においては与野党の勝敗を決するのは1人区と見て、各党は重点区としている。果たして、これら34県にわたる選挙区に真に繁栄をもたらし人口増加を実現させ得る政策を遂行できる政党はどこか、候補者は誰か。これこそが大きな関心であり、争点であろう。

 ところが今回1人区が注目されたのは、昨年の通常国会で騒動の末に制定された安全保障関連法をめぐる自民・公明の与党と民進、共産、社民、生活の野党との対立によってだった。共産党が同法廃止の一点で呼び掛けた「国民連合政府」構想をきっかけに共闘し、野党4党は1人区で統一候補を擁立した。

 故に、野党側は「憲法違反」の安保法廃止と「専守防衛」により集団的自衛権の行使を禁じることを今回の選挙の眼目に置いている。民進党の岡田克也代表は憲法改正に必要な3分の2の議席を与党および改憲を公約する他野党に与えないことを前面に押し出し、同党ポスターの標語にもした。

 これを共産党が持ち前の組織力を動員して支援する構図が今回の選挙ではできつつある。冷戦時代に日米安保条約反対・自衛隊反対・憲法改正阻止などの不毛なイデオロギー闘争を繰り返した共産党・社会党の選挙共闘の復古版で時計の針を逆に回す動きだ。

 冷戦が終焉(しゅうえん)した1990年代に、外交・安保でも現実的な政策を競う与野党関係に向けて政治改革を伴いながらイデオロギー闘争脱却の政界再編が始まった。2000年代には自民党と民主党の二大政党の形が定着、09年に政権交代が起きた。

 現在、政策の違いを度外視して共闘する野党各党が大義名分とする「1強多弱」は自民党の責任だろうか。「多弱」となったのは、記録的な総得票数で政権に就いたにもかかわらず、3年で崩壊させた現在の野党の問題である。

 そのような政権を不和・抗争で分裂、崩壊させた当事者の民進、社民、生活の各党が、過去の暴力路線に反省も謝罪もなく、暴力革命を説くマルクス・レーニン主義との決別もしない共産党と今回の選挙で共闘することは極めて遺憾だ。

健全な二大政党制を

 「民共」では与党へのチャレンジャーとしての枠組みにはならないと断固拒絶し、健全な二大政党制再構築のための足掛かりとなる選挙としたい。