舛添氏資金流用、反省を形で示し責任果たせ


 舛添要一東京都知事の政治資金流用問題で、第三者調査結果に納得しない都議会各会派が厳しい追及を開始している。

 都議会側はきょう、総務委員会理事会を開き、一問一答形式の集中審議開催を決める。都政の混乱を収束させるには、知事が反省を形をもって示して責任を果たし、議会側も再発防止に目を光らせる必要がある。

 都議会各会派が追及

 舛添氏は心を改めるべきである。週刊誌の報道で発覚した公私混同の資金流用には、法の網の目をかいくぐるように公費を私的利益のために流用する痕跡が露骨である。それ故に、第三者調査においては「違法性はないが不適切」とされる案件が多かったが、知事としての資質に欠けるとの印象を世間に与えた問題は大きい。

 国際政治学者の明晰(めいせき)な頭脳の働かせ方を誤っているとしか思えない。庶民も盛んに利用しているネットオークションを通しての美術品の落札、あるいは漫画本、小説、料理本、民芸品など、投機的な価値も乏しいことから単なる個人的な嗜好(しこう)による資金流用とみられるが、呆(あき)れるほど小賢(こざか)しい案件が多い。

 都議会本会議では代表質問や一般質問で各会派が追及し、与党の自民党、公明党からも「都政の信頼失墜」「説明責任を果たしていない」などの批判が出た。無論、個人的な物品購入や宿泊施設利用のためであるならば、政治上の必然性について理屈を付けるには苦心することになろう。

 知事は都外の別荘通いの「危機管理の欠如」をはじめ反省と陳謝を繰り返し、第三者調査結果で不適切と指摘された支出114万円の返金、外部の政治資金に詳しい会計責任者による資金管理の厳格化などで切り抜けようとしている。

 しかし、反省し道義的責任を自覚するならば、昨日表明した自らへの減俸を議会や有権者の納得のいくレベルにする形で示してしかるべきだ。

 都議会が舛添知事に対して、一問一答の集中審議を開くことを決定することは重大である。集中審議は猪瀬直樹前都知事が医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受け取った政治資金問題をめぐっても開催された。いわば猪瀬前知事辞任の引き金となった都議会審議である。

 2013年12月に4回行われた集中審議で猪瀬氏は食言をしたことを問われて都議会は百条委員会設置に動き、猪瀬氏は都政停滞を理由に知事辞職を表明、14年2月の都知事選で舛添氏が当選した。

 しかし2代続けて同様な事態が繰り返されることになれば、20年東京五輪を控えて都政が混乱に陥るだろう。ここで舛添氏を辞職に追い込んだ場合、五輪開催の20年に都知事選が重なってしまう。

 残り任期で綱紀粛正を

 舛添氏は辞職を否定するからには、自らへの綱紀粛正を徹底し、真摯(しんし)に説明責任を果たすべきだ。

 都議会側は引き続き監視の目を光らせ、任期満了の18年2月に納得のいく形で五輪開催を担うことになる新たな都知事を選出することが穏当だろう。