民維合流新党、選挙ありきの野合でいいのか


 民主党と維新の党が3月に合流する見通しとなった。民主党の解党は行わず、新しい綱領を定め、党名を変えて3月に新党名での結党大会を目指す方向だ。折り合いがつかなかった新党結成の協議は、共産党が参院1人区での候補者取り下げの方針を示したことを機に急展開した。共産党の選挙協力を当てにする野合である。

民主への事実上の吸収

 民主党は24日の臨時常任幹事会で維新の党との合流を了承し、交渉を岡田克也代表に一任した。22日に岡田代表と維新の党の松野頼久代表が会談し、維新が解党方式を取り下げた。新党結党に当たって新綱領を定めるが、確固とした理念・政策がなければ信頼回復はできない。

 また、維新の党の議員の多くは、かつて橋下徹氏の「日本維新の会」や渡辺喜美氏の「みんなの党」に所属し、党首の強い個性で票を集めて議席を得たにもかかわらず、分裂と新党結成を繰り返している印象は拭えない。当選当時の所属政党の「維新八策」や「行政改革」などの理念に共鳴していたかも疑問だ。さらに「野党再編」を唱えながら民主への事実上の吸収では、政策、大義名分とも現実との落差が大きいと言わざるを得ない。

 しかも、このような弱体化した民主・維新が、組織力の強い共産党の協力を当て込むのは警戒を要する。実際、両党が合流に動き出したのは、共産党が22日に全国都道府県委員長・参院選候補者会議を開き、志位和夫委員長が参院1人区の候補者取り下げに関する条件を報告して意思統一を図ってからだ。

 昨年9月に安全保障関連法廃止のための「国民連合政府」構想を提起し選挙協力を呼び掛けた共産党は、参院選前の同構想は民主党などに拒否感が強いため困難と判断して棚上げした。が、共産党を含めた「政府」から共産党との「選挙協力」に統一戦線形成のハードルを下げたにすぎない。

 共産党の参院1人区支援は、中央の協議を経た地方組織レベルでの政党や候補者との合意などを条件にしており、合意には共産党に対しての他野党からの協力も当然計算に入れている。この点、共産党と共闘する各党は自覚しているのだろうか。共産党の新方針が衆院小選挙区での「ギブ・アンド・テイク」に触れていることだけでも、民主党公認候補が「比例は共産党」と連呼することも想像されよう。

 また、政策面での協力は現に安保法廃止法案提出に示されている。共産党は「合意」を得た他党候補には「本格的な選挙協力を目指す」としており「宣伝戦、組織戦でも全力をあげる」と全面協力を明言する。

 これには沖縄県知事選での“成功体験”がある。自民党沖縄県連幹部だった翁長雄志氏を「米軍普天間基地の辺野古移設反対」で全面支援し、当選後の翁長知事は自民・公明連立の安倍政権と激しく対立している。

分裂含みの展開を懸念

 民維合流後の新党候補が共産党から全面支援されれば同じことが考えられる。

 選挙目当ての野合だからこそ始末におえない。結党時から分裂含みの展開が懸念される。