統一地方選 地方創生の主役を選りすぐれ


 第18回統一地方選挙の前半戦がきょう、北海道、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分の10道県知事選の告示でスタートする。

 投開票日は後から告示される41の道府県議選、5市の政令市長選、17市の政令市議選と同じ4月12日。少子高齢化や不況で活力を失った地方の再建を担う主役の自治体首長・議員を選りすぐりたい。

「消滅可能性」の自治体も

 統一地方選は通常国会後半の与野党の攻防に影響するとともに、次に控える国政選挙の前哨戦とも位置付けられるため、政界では来年夏の参院選と合わせて関心が高い。

 前半戦は政党から公認・推薦を受ける候補者が多く、野党は国政課題も争点にして政権批判を強めよう。

 安倍政権は昨年の衆院選、一昨年の参院選に勝利し、国政における政権公約は支持されたが、個別の政策では地域に負担の掛かるものもある。農協(JA)改革批判が1月の佐賀県知事選、米軍普天間基地移転問題が昨年11月の沖縄県知事選などに影響した。

 今回の知事選のうち北海道と大分では与野党対決型となる。政権側はJA改革や環太平洋連携協定(TPP)交渉、原発再稼働、さらに安全保障法制整備についても丁寧な説明を必要としよう。

 地方では少子高齢化・人口減少および都市部との格差が深刻だ。日本創成会議は全国896の市区町村が「将来消滅する可能性がある」と指摘している。20~39歳の若年女性が東京はじめ大都市圏に集中して地方で子供が増えず、最終的には自治体の機能を維持することが難しくなるからだ。

 大都市圏への流出は主に大学進学と就職を契機に起きている。地方に若者を引き付ける力が不足していることは明らかだ。地方産業の振興、雇用拡大と結婚・子育てに有利な環境を創出し、地方の暮らしに憧れる人を増やす施策が欠かせない。

 政府は地方創生を掲げ、多様な支援策を打ち出したが、今回の選挙の焦点となろう。政府は各自治体に15年度から19年度までの5カ年の地方版総合戦略の策定を求めた。「自立につながるよう自らが考え、責任をもって戦略を推進」するためだ。今後4年の任期をめぐる統一地方選で各候補がこれを奇貨として、地元自治体の自立に向けた公約を示してほしい。

 各党は自民党がローカルアベノミクス、民主党がローカルマニフェストを掲げ地方選公約を競う一方、地域固有の政策を打ち出すローカルパーティー(地域政党)も注目されている。前回の大阪府・市議選で大阪維新の会が大きく躍進し、後に国政にも進出して維新の党を結党するなど、地方から国政に影響を与えるようになった。

地域政党も候補擁立

 今回、大阪維新の会は府議選に53候補、同日投開票の大阪市議選に38候補を擁立しており、「大阪都構想」に向けた5月の住民投票への弾みとする構えだ。他に愛知の減税日本、埼玉の「プロジェクトせんたく」など、小回りの利くローカルパーティーの動きも見落とせない。

(3月26日付社説)