沖縄1区 問われる自公の絆の力
’14衆院選 注目区を行く(1)
「経済振興で豊かな沖縄を!」「新基地を絶対につくらせない!」
公示日以降、那覇市内では選挙カーからウグイス嬢の大きな声が流れる。
沖縄県は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設が最大の争点となった県知事選で移設反対の翁長雄志が当選、それからわずか2週間余で衆院選に突入した。
県都・那覇市を拠点とした沖縄1区は、自公協力発祥の地。革新協力の知事選の枠組みを背景にした赤嶺、敗北した知事選の流れを払拭(ふっしょく)し政府与党の自公体制の票固めを図る国場、その間隙(かんげき)を狙う下地の三つ巴(どもえ)となっている。
「第一の争点は新基地建設反対の勢力を選ぶか、新基地建設推進勢力を選ぶかであり公約を裏切った人に審判を下す最初の選挙だ」
赤嶺はこう語り、基地問題を焦点に知事選での「オール沖縄」の勢いにそのまま乗りたいところだ。赤嶺陣営は、翁長の全面協力を得て、共産、社民、沖縄社会大衆など革新政党が推薦。10日には共産党の志位和夫委員長が来県、街頭で翁長とともに支持を訴える予定だ。
ただ、共産主導に対する警戒心から知事選で応援した保守中道系の那覇市議会と連合沖縄は自主投票とした。「オール沖縄」体制はすでに崩れている。それでも、赤嶺は「(辺野古移設反対という)『オール沖縄』の民意を『オール日本』の民意にする」と強気の発言、「沖縄から日本革命を」目指してきた共産党の本音が見え隠れする。
「一番重要なベースは何といっても経済だ。観光、物流など社会資本を整備し、平等な教育、保育の環境整備、社会福祉の充実が必要だ」
自民の国場は出陣式でアベノミクスによる経済発展こそが沖縄を豊かで幸せにできると訴えた。
沖縄1区は2000年の衆院選で公明候補を自民が推薦して以来、自公体制が磐石だった。ところが、先の知事選で公明が普天間移設問題で自主投票。自公体制に亀裂が生じたかにみえたが「自公セットでないと比例の議席が危うい。背に腹は変えられない」(公明県議)と公明は早々と国場推薦を決定。関係者が続々と1区に入っている。
しかし、県知事、那覇市長ともに革新系に譲る結果となっただけに、「現状では決して楽観は許されない」と国場選対本部は危機感を強める。
一方、保革対立に割って入るのが下地。知事選では那覇市での得票率は10%に満たなかったが、後援会の強い後押しもあり、維新に鞍(くら)替えして出馬した。2年前の衆院選と先の知事選の連敗で後がなくなった下地陣営は、「今度こそ勝ちに行く」(選対関係者)と起死回生を図る。「知事選は事実上、辺野古移設の是非を問う県民投票だった」と公言し、「辺野古移設の中止・撤回」を公約に。
「下地陣営は当選のためにはあらゆる手段を尽くす。『辺野古移設撤回』を打ち出して比例で翁長陣営の応援を頼み、惜敗率で維新比例復活を目指している」と自民県連幹部は語った。初冬の風の冷たさが身に染みるようになった沖縄だが、三つ巴戦はヒートアップしている。(敬称略)
(2014衆院選取材班)






