維新・結い新党、まずは民主党を超える野党に
日本維新の会と結いの党が新党設立準備会を設置し、9月21日の新党結党を目指して調整中だ。しかし、党名や党本部を大阪にするか否かなどで難航している。
国民の新党不信を跳ね返すには本腰を据えた本格政党としてスタートする必要がある。
疑問残る「首相公選制」
一時は民主党を超えるほどの支持率を集め、実際に2012年衆院選比例代表では民主党を抜いて自民党に次ぐ1226万票(得票率20・38%)を集票した維新の支持率は現在、1%程度と低迷している。
また、結いの議員が離党する前のみんなの党も524万票(同8・72%)と、公明党に次ぐ中堅政党の地歩を築いていた。しかし、最新の時事通信世論調査で結いは0・1%の支持率しかない。
とかく政権当時の民主党の力不足が批判されているが、それ以上の支持離れを引き起こしている現実を両党は直視すべきである。
国政政党でありながら橋下徹大阪市長が代表を務め、その人気に頼る歪(いびつ)な維新の体制は、最終的には国政を担う上において障害となるであろう。
「維新・結い新党」で共同代表制を採用するよう求める声もある。しかし、このような党体制は有権者に分かりにくい。
橋下氏は代表を続けるならば、将来の国政選挙出馬を視野に、新党結党に当たってはその決意を表明してほしい。衆院選、参院選の際に市長として応援するのと、自ら率いる党の躍進および自らの当選のために選挙戦に走るのとでは熱意と責任感が異なろう。
橋下氏は「野党がバラバラではだめだ」と主張し、政界再編論者である結いの江田憲司代表も同党を「政界再編政党」と位置付けるが、他力頼みの御都合主義では求心力が働かない。しかも、民主党は海江田万里代表の続投を決め、反省総括を受けて安易な政界再編を戒める姿勢を強めている。
憲法改正を主張する点は現実と条文に乖離(かいり)が生じている状況から評価できるが、その主眼を大衆迎合的な「首相公選制」にするのは疑問だ。議院内閣制の我が国では衆院選後の国会における首相指名選挙による選出が定着している。与党となる政党の党内ガバナンスが確立されているならば、政権の改革推進力は発揮され得る。
この点、民主党は党内対立が頻発して選挙公約も破綻していった。分裂を経験した維新と結いも党内調整力や意見の違いをまとめるチーム力が不足しているのではないか。新党結党の遅れにも、そのような能力の欠如がうかがわれる。
しかし、両党とも瀬戸際にあり、離党、分党をしてまで新党結成に動き出したのであり、背水の陣を敷いた以上は基本理念・政策をしっかりと打ち立てる必要がある。
保守改革政党を目指せ
まずは、数次の国政選挙に挑んで民主党を乗り越えて第2党に成長していく本格的な保守改革政党を目指してほしい。そのような存在感がなければ、政界再編を言い出すのは逃げ場探しに等しい。
(8月21日付社説)