期待も関心も失う海江田体制


 民主党は来週31日、海江田万里代表の執行部における過去1年間を総括する両院議員懇談会を開く。

 党勢不振から岡田克也前副総理、玄葉光一郎前外相らが来年9月の任期満了を待たずに代表選の前倒しを求め、海江田氏は拒否する構えだ。だが、労組頼みの執行体制は見直す必要があろう。

 国会で存在感発揮できず

 昨年参院選で民主党は惨敗したが、海江田代表は「目に見える成果」を1年後に上げられなければ代表を退く決意を表明して続投した。2012年末の衆院選大敗による野田佳彦首相の退陣を受け、党を率いるようになってから間もないという理由もあった。

 が、「1強多弱」の国会では自民・公明の与党主導を許し、存在感を発揮することができなかった。これは、せっかくの3年余の政権担当経験にも拘わらず、反対野党の立ち位置を取り始めたことが響いている。

 安倍政権は民主党政権時代の株価低迷、沖縄県・尖閣諸島をはじめとした領土を他国に侵害される脅威の浮上など、我が国が直面した経済・外交・安保の国難に対処する政権としてスタートした。

 これが「アベノミクス」第2の矢である大型の補正予算と本予算の編成、国家安全保障会議設置と特定秘密保護法制定、集団的自衛権行使容認をめぐる対処に表れた。野党であっても政権に協力的姿勢を示した日本維新の会、みんなの党などの「責任野党」に対し、民主党は与党との対立軸構築を意識するあまり、自ら政権にあった時には検討の俎上に載せた懸案にも海江田執行部は正面から反対する姿勢に転じた。

 これは党が分裂した上、選挙で議席が減少し、野党に転落することで有力支持基盤の連合傘下労組の影響が相対的に大きくなったこともあろう。海江田代表の「反省」全国行脚においても、このような支持者の声ばかりが高まったと言える。支持層の“純化”で反対野党体質を強め、共産党と競うように「安倍政権の暴走」批判を繰り返したのだ。

 この夏には「集団的自衛権閣議決定撤回」を求める全国集中行動を企画するなど左傾化が進んでいる。海江田民主党には、国難に与野党の利害を超えて一致して立ち向かうという国士としての度量が見えない。

 また、この間行われた選挙で民主党は苦戦している。4月の衆院補選では党公認を見送って無所属候補を応援したものの、「政治とカネ」の問題で敵失があったにも拘わらず、自民党候補の当選を許した。7月に入り滋賀県知事選で民主党系候補が勝利したが、やはり無所属を強調する「民主党隠し」の実情がある。

政権担当能力が必要

 海江田代表の下で民主党の支持率は時事通信世論調査で3%台に低迷しており、公共放送のNHK世論調査でも4・8%にすぎない。

 有権者は政権担当能力があり、政権交代可能な野党第1党を求めている。ただの反対野党には関心も期待も失せていると言えよう。

(7月24日付社説)