緊急事態宣言 人流抑制し第4波抑え込もう
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない東京、大阪、京都、兵庫の4都府県にきょうから緊急事態宣言が発令される。昨年4月、今年1月に続く3度目の宣言となるが、強い危機感を持って感染「第4波」を抑え込んでいかねばならない。
百貨店などに休業要請
期間は5月11日まで。菅義偉首相は「このまま手をこまねいていれば大都市の感染拡大が国全体に広がることが危惧される」「ゴールデンウイークの機会を捉え、短期間に集中して感染を抑え込む」と強調した。
1月の2度目の宣言時は飲食店への営業時間短縮要請などにとどめていたが、今回は酒類やカラオケを提供する飲食店には休業を要請。百貨店など大型商業施設にも休業を求め、プロ野球などイベントも原則無観客とする。出勤者は、テレワークや休暇の活用で7割減を目指す。
このような踏み込んだ対策を取ったのは、感染力が強く、重症化しやすいとされる変異ウイルスの拡大がある。拡大を抑制するには、人流を極力抑える必要があるとの判断だ。
大阪、兵庫では新規感染者の8割近く、東京でも3割近くが変異ウイルスによるものとなっている。東京での感染が変異ウイルスにほぼ入れ替わった場合、2週間後には1日当たりの新規感染者が2000人以上となるとの試算もある。基本的対処方針分科会の尾身茂会長は「間違いなく新しいフェーズ(段階)に入った。人と人の接触の機会をできるだけ避けることが最大の目標だ」と強調した。
東京都は独自の取り組みとして、床面積1000平方㍍以下の小規模商業施設に対して生活必需品関係を除いての休業を依頼するほか、人流抑制措置として、午後8時以降は街灯を除いてネオンやイルミネーションなどを消すことを求めていく方針だ。小池百合子知事は「現下の危機的な状況の中、いま一度、徹底して人流を抑える。そのためのステイホームを実践する17日間とする」と強調した。
昨年の第1回目の宣言発令時は、正体不明のウイルスへの恐怖、危機感があり、政府や知事が呼び掛けるステイホームがかなり浸透した。ただ、それ以降の自粛疲れや慣れもあって人出はなかなか減らない状況が続いている。現状では、ステイホームをできるだけ実践することが求められている。
緊急事態宣言発令期間の17日間で抑え込めるのか危ぶむ声も既に上がっている。対策の徹底と、人々の行動変容がなければならない。
飲食店での酒類提供がなくなることで、感染リスクが心配される「路上飲み」が増えるとの懸念もある。特に若い人たちに変異株の脅威をもっと伝え、危機感を共有させる必要がある。
ワクチン接種の迅速化を
感染収束の切り札となるワクチン接種について菅首相は、希望する高齢者に7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることを目指すと表明した。歯科医による接種を可能にするなどの進展も見られるが、いまや接種は時間との戦いとなっている。完了時期の前倒しも含め、政府は強い指導力を発揮して接種の迅速化を図ってもらいたい。