夫婦同姓派への攻撃、保守系議員は堂々と信念貫け


 選択的夫婦別姓に反対する保守系政治家への推進派の度を超した攻撃が続いている。中でも、丸川珠代男女共同参画担当相には、あたかも大臣の資格がないかのような批判が行われているが、別姓に反対する世論を無視した共同参画推進こそが危険である。
 別姓反対派は堂々と信念を貫いてほしい。

与野党議員が丸川氏批判

 丸川氏のほか、高市早苗前総務相や古屋圭司元国家公安委員長ら衆参議員50人は連名で、別姓導入は「家族単位の社会制度の崩壊を招く」などとして、立憲民主党や共産党議員らからの働き掛けで検討されている別姓実現を求める意見書採択を阻止する文書を、自民党系地方議員約40人に1月30日付で送った。

 このことについて、推進派は地方議員への「圧力」と批判するが、家族を基本単位とする社会を守るための適切な行動として評価したい。

 平成27年、最高裁は夫婦同姓を「合憲」との判断を下した上で「家族の一員であることを対外的に示し、子も両親と同じ姓である仕組みに意義がある」とした。ところが、選択的であろうと、別姓を認めることは、現在「家族の呼称」となっている姓を「個人の呼称」と変えることになる。それは、夫婦を単位につくられている戸籍制度を個人単位に変え、社会を家族単位から個人単位に大きく変質させてしまうことでもある。

 従って、「社会制度の崩壊を招く」との保守系議員の危機意識は当然のことで、何ら非難されるべき行動ではない。丸川氏が「個人の信念」として文書に署名したのは担当相就任前のことで、これも何ら問題はない。

 社民党の福島瑞穂党首は参院予算委員会で、旧姓を通称使用する丸川氏に対して「家族の一体感がない」と、個人攻撃を行った。丸川氏の家族にあまりに失礼であろう。戸籍で別姓にすることと、結婚後も通称使用することは別次元の問題である。

 一方、NHK番組に出演した共産党の田村智子政策委員長らは「足を引っ張ることはやめるべきだ。(丸川氏の)責任は極めて重い」と、担当相は別姓推進の立場と決め付けた発言を行った。しかし、昨年末に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画は別姓について「さらなる検討を進める」としただけであり、丸川氏の信念と何ら矛盾するものではない。

 また、自民党の別姓推進論者、野田聖子幹事長代行はインターネット番組で「私たちは個人の思いで国会議員になっているわけではなく代弁者だ」と、個人の信念を否定するかのような発言を行っているが、これも奇妙な言い分である。

 同姓維持派が過半数

 国民の大多数が別姓に賛成しているのであればまだしも、実際は違う。内閣府が平成29年度に行った調査によると、別姓を実現させるための法改正に賛成したのは42・5%。一方、旧姓の通称使用を認めることも含めた同姓維持派は53・7%だった。野田氏が推進派の代弁者を名乗るのは構わないが、意見書採択に反対する国会議員も同姓維持派の代弁者であるという認識を持つべきである。