緊急事態宣言 接触減らし感染拡大防ごう
人と人との接触の機会を減らし、感染拡大の勢いを止めなければならない。菅義偉首相は、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき、東京都と神奈川、埼玉、千葉の3県を対象に緊急事態宣言を発令した。期間はきょうから2月7日まで。
従わない飲食店の公表も
菅首相は「全国的かつ急速な蔓延(まんえん)により、国民生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある事態が発生した」と危機感を表明。「この2週間で全国平均の感染者数の約半分が1都3県に集中している」とも述べ、「こうした中で何としてもこれ以上の感染拡大を食い止め、感染を減少傾向に転じさせるために宣言を決断した」と説明した。
また、緊急事態宣言発令で①飲食店の20時までの営業時間短縮②テレワークによる出勤者数の7割減③20時以降の不要不急の外出自粛④スポーツ観戦、コンサートなどの人数制限――の4点を重視する考えを示した。
筆頭に飲食店の営業時間短縮を挙げているのは、飲食の機会が首都圏の感染拡大の要因とみられているためだ。20時で閉店し、酒の提供は19時までとすることを要請し、各知事が要請に従わない飲食店を公表することも政令改正で可能となった。
しかし長引く自粛で首都圏の飲食店は、厳しい経営状況にある。そのため時間短縮に対しては、1カ月当たり180万円までの協力金を国が支給する。実効性を挙げるための当然の措置である。
一方、東京などは年末から年始にかけてPCR検査での陽性率が上昇しており、市中での感染が広がっているとみられる。会社への電車などでの通勤や、人と人との接触自体を減らす必要がある。昨年4月から5月の緊急事態宣言時に7割削減を目標にし、一定の効果を発揮したことを思い起こしたい。
年末からの感染者急増で、首都圏の医療提供体制は逼迫(ひっぱく)している。コロナ対応の病床を大幅に増やすため、新たな病床を増やした病院には、1床当たり450万円の補助を上乗せし、重症者の病床があれば1床当たり約2000万円の支援を行う。何としても医療崩壊は防がなければならない。
昨年4月はほぼ全国の学校が休校となったが、これまで学校から感染が広がった例はほとんどなかったことから、休校要請はしない。
新型コロナウイルスの知見が乏しかった昨年と違い、やみくもに感染を恐れる傾向はなくなってきているが、その分外出自粛要請にどれだけ人々が応じるか懸念はある。基本的にはできるだけ外出や人との接触を控える一人一人の努力が、社会全体の感染を抑えることになる。
西村康稔経済再生担当相は、宣言解除の基準について「(感染状況が4段階中2番目に深刻な)ステージ3の段階になったかどうかで判断」するとし、東京都に関しては「感染者数が1日当たり500人」を下回るのが目安と述べた。
収束への道筋付けたい
政府は2月末にはワクチンの接種を開始したいとしている。1カ月の辛抱と、その後のワクチン接種で、収束への道筋を付けていきたい。