Go To見直し 移動制限より基本徹底が重要


 新型コロナウイルスの感染「第3波」で、新規感染者や重症患者が急増している。政府は「Go To」事業の見直しを決め、東京都や大阪府などは飲食店の時短営業要請を決めた。未知のウイルスとの戦いであり、臨機応変の対応は当然だが、「3密」を避けるなど、基本的な予防策の徹底が重要であることに変わりない。

 感染再拡大と直結せず

 政府は、観光支援事業「Go To トラベル」の対象から感染拡大が深刻な札幌、大阪両市を一時除外することを決定。期間は12月15日までの3週間で、両市を目的地とした旅行に関し、予約済み分は12月1日出発のものまでを割引対象とし、それ以降は適用除外とする。利用客の解約料負担はなくし、予約をキャンセルされた事業者には政府がその旅行代金の35%を一律で補填(ほてん)する。

 一方、両市から出発する旅行は引き続き割引対象とする。理屈に合わないようだが、旅行業へのダメージを少しでも抑えたいためとみられる。

 感染「第3波」の中、一番肝要なのは医療提供体制をいかに維持するかだ。赤羽一嘉国土交通相が「これ以上の医療の逼迫(ひっぱく)は回避しないといけない」と述べたことに、苦渋の選択を決定付けた最大要因が示されている。

 国会審議で、立憲民主党の枝野幸男代表は「人の移動が活発になれば、感染が広がる。Go To事業で人の移動を政府が推奨した」と批判。これに対し、菅義偉首相は「Go Toトラベルは4000万人が利用し、現実的に新型コロナ陽性になったのは180人」であったとし、同事業と感染の再拡大は「直結していない」と反論した。

 菅首相は事業が地域経済を支えているのは事実とし、「感染拡大の防止を最優先としながら経済を回していかないといけない」と主張。見直しはあくまで感染拡大の予防措置であると説明した。立憲民主党などは政府攻撃をするのでなく、感染予防と観光業・旅行業の救済を両立させる代案を示すべきである。

 一方、東京都の小池百合子知事は、島嶼(とうしょ)部を除く都内全域の酒類を提供する飲食店とカラオケ店を対象に、営業時間を午前5時~午後10時に短縮するよう要請することを決めた。感染が外での会食で起きやすいことを念頭に置いた決定である。

 期間は28日から来月17日までの20日間で、ボードで「感染対策 短期集中」であることを強調した。東京都の時短は8月3日から9月15日に行って以来。要請に応じた事業者には都が一律40万円の協力金を支給する。

 小池知事は「できるだけ不要不急の外出は控えてほしい」とも語る一方、東京をGo Toトラベルから除外することを政府に要請することは見送った。

 会食の場で防ぎたい

 人の移動が感染拡大に直結しておらず、経済社会活動にとって重要であることを考えれば、会食の場でいかに感染を防ぐかに集中するのは当然である。

 「3密」を避けるなど基本を守って会食の場でもできるだけマスクを着用し、「小声」「小まめ(な手洗い)」「小皿」などの「5つの小」を実践して感染を防いでいきたい。