憲法改正へ自民党基盤を拡充せよ


 自民党は党大会を開き、「党是である憲法改正の実現に向けて、党全体として積極的に取り組む」とする2014年運動方針を採択した。憲法改正は衆院選や参院選での公約で、国民に対する約束事でもある。単なるスローガンに終わらせず、どう行動するか、安倍自民党の真価が問われる。

 地方議員が大幅に減少

 安倍晋三首相は党大会で「ぶれることなく、強い経済を取り戻し、デフレ脱却を目指したい」と誓った。今年4月に消費税率引き上げを控えているだけに、経済優先の姿勢で臨むのは内閣としては当然のことだろう。

 では、党は何をすべきか。言うまでもなく、次なる課題である憲法改正に向けて党を再生させ、万全の態勢を築くべきだ。自民党は政権を奪還したものの、党組織は脆弱(ぜいじゃく)なままで、これでは積極的な取り組みは望めない。その自覚がまず必要だ。

 かつて500万人台を誇った党員数は、現在78万人にまで減少している。業界団体などを軸にした支援組織が弱体化したにもかかわらず、近代的な党づくりを進められなかったからだ。

 また党の足腰となってきた地方議員は市町村合併で大幅に減り、都道府県議会の占有率は過去最低の約45%にまで下がった。市区町村議員数は、2000人台を維持する公明党や共産党に及ばず、約1700人にとどまっている。09年に野党に転落した際、「戦う地方議員」づくりが標榜(ひょうぼう)されたが、それも掛け声倒れに終わった。

 党支部は衆院300選挙区ごとに設けられた選挙区支部が主だ。しかし、議員や候補者が支部長を務めることから、議員個人の後援会の色彩が強い。

 小選挙区制を背景に「党の公認さえあれば、当選する」と考え、支部長は党組織を積極的に拡大しようとしない。そればかりか、連立を組む公明党の支援を期待し、憲法改正など対立しがちな政策を前面に打ち出すことを避ける傾向がある。

 これが自民党の地方組織の実態と言ってよい。果たして憲法改正に積極的に取り組めるのか、はなはだ疑問だ。

 まずは議員(支部長)に党是を再確認させ、憲法改正への理論武装を進めることだ。党是に従わない場合、次回選挙での候補者差し替えも考慮に入れるべきだろう。

 憲法改正は国会で発議された後、国民投票に付される。その際、草の根レベルで論争が巻き起こるのは必至だ。

 すでに共産党は約2万ある市区町村支部を軸に護憲運動を強めている。自民党の300選挙区を中心にした対話集会だけでは、積極的な運動とは言い難い。憲法改正の機運を高めるために党基盤を拡充し、草の根レベルの改憲運動に取り組む必要がある。

 今年こそ具体的行動を

 国会においては改憲派野党とも連携し、憲法改正手続法(国民投票法)の投票年齢などを確定させる法改正を早急に行うべきだ。それと並行して憲法審査会では改正の中身の論議に入ってもらいたい。

 自民党は今年こそ、憲法改正に向けて具体的な行動を取らなければならない。

(1月20日付社説)