2次補正案 早急な支援へ実効性上げよ


 2次補正予算案が閣議決定された。一般会計の歳出総額は補正予算としては過去最大の31兆9114億円、1次補正と合わせた事業規模は230兆円超になった。

 対策は出そろった感じだが、1次補正での対策も手続きの煩雑さから支援の遅れが目立つ。創意工夫で手続きを簡素化し、困窮する家計や企業への支援が疎漏なく一日も早く届くよう実効性を上げてもらいたい。

 家賃支援給付金を創設

 2次補正案では、1次補正で盛り込めなかった家賃支援給付金を創設。2兆円強の予算で売り上げが急減した中小・個人事業者に対し、個人は150万円、法人は300万円を上限に家賃の3分の2を半年分支給する。

 また、最前線で新型コロナウイルス感染者の治療に当たる医療機関などへの包括支援交付金を2・2兆円と1次補正から大幅に増額。医療従事者らにも最大20万円の現金給付を行う。

 また緊急事態宣言の発令で休業を余儀なくされた企業に対し、上限額を1人1日当たり1万5000円に引き上げるなど雇用調整助成金を拡充したが、休業手当をもらえない人が急増している。2次補正でそうした個人向けに、月33万円を上限に賃金の8割を直接給付する休業支援金を創設したのは現状に即した妥当な措置と言える。

 11・6兆円と最大の支出項目となったのは、企業の資金繰り支援である。アパレル大手のレナウンが経営破綻するなどコロナ禍の影響は、中小・零細企業にとどまらない。いわゆるコロナ倒産はここ数カ月で急増する状況になっており、対応は急を要すると言っていい。

 具体的には、日本政策金融公庫や民間金融機関で既に実施している無利子・無担保融資を大幅に拡充する。こうした「止血策」としての融資だけでなく、場合によっては、民間金融機関が融資しやすい環境を整える財務基盤強化が必要となる。

 このため、2次補正では政府系金融機関などが通常の融資よりも返済順位が低く、資本に近い性格の「劣後ローン」の実施を盛り込んだこと、また取引先企業の経営悪化で金融機関の不良債権が増加した場合に備えた財務基盤強化策も評価したい。

 2次補正では前例のない10兆円という予備費が計上された。政府・与党の国会対策という性格も垣間見え、野党からは批判の声も出ているが、コロナとの闘いが長期戦になることを見据えれば止(や)むを得まい。感染拡大の第2波、第3波が生じた際、臨機応変の対応が必要であることは安倍晋三首相の表明を待つまでもない。

 課題は1次補正の対策でも明らかになった支援策の遅れをどう克服するかである。

 手続き簡素化へ工夫を

 いわゆる「アベノマスク」は依然届かないところが多く、国民一律の10万円給付も早さが売りのオンライン申請でトラブルが相次ぎ、郵送に切り替えた自治体も少なくない。雇用調整助成金の申請でも、必要書類の多さ煩雑さで手続きに時間がかかっている。必要な人に迅速に届かなくては支援も絵に描いた餅である。手続きの簡素化へ一段の工夫、努力を求めたい。