日米首脳、新型ウイルスの早期収束図れ


 安倍晋三首相はトランプ米大統領と電話で会談し、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している状況を踏まえ、世界経済の現状や日米双方が協力して取り組むべき課題について協議した。両首脳は連携を強化して新型ウイルスの早期収束を図るべきだ。

米側の求めで電話会談

 電話会談は米国からの求めで行われた。新型ウイルスをめぐって、首相は大規模イベント自粛や臨時休校要請、医療体制強化などの取り組みを説明。「引き続き果断に、タイムリーに対応したい」と強調した。

 世界保健機関(WHO)は、新型ウイルスについて「パンデミック(世界的流行)と見なせる」と表明。AFP通信によれば、感染による死者は全世界で5000人を超えた。米国内の感染者は1000人以上、日本もクルーズ船を合わせると1000人以上に上る。

 日本ではきょう、首相が都道府県知事に強い行政権限を持たせて私権を制限する「緊急事態宣言」の発令が可能になる改正新型インフルエンザ対策特別措置法が施行される。米国は英国を除く欧州からの米国入国を30日間禁止するなど感染拡大防止に力を注いでいる。

 電話会談では、日米双方の渡航禁止や入国制限に関するやりとりはなかったという。両国は新型ウイルスに関する情報の共有を進めるとともに、感染状況を踏まえ、先手を打って対策を講じていく必要がある。

 一方、トランプ氏は電話会談の前に、7月下旬から開催予定の東京五輪について「1年間延期すればよいかもしれない」と発言。会談では延期について話題にならなかったというが、五輪に大選手団を送る米国の影響力は大きい。

 東京五輪に向け、古代オリンピックの舞台となったギリシャ・オリンピア遺跡では聖火採火式が行われた。しかし、2004年のアテネ五輪女子マラソンで金メダルの野口みずきさんが参加した聖火リレーは、新型ウイルスの影響でギリシャ国内では中止となった。

 感染拡大が長引けば、五輪の延期もやむを得ない状況となってくる。とはいえ、延期は極力避けたい。

 これまで多くの関係者が、東日本大震災から復興した日本の姿を世界に示すため、さまざまな困難を乗り越えて今年の五輪開催に尽力してきた。猛練習を重ねている選手たちのためにも、首相は7月に安心して五輪を開催できるよう新型ウイルスの早期収束に全力を挙げてほしい。米国と共に有効なワクチンの開発なども急ぐべきだ。

中朝への警戒緩めるな

 電話会談では、ミサイル発射を繰り返している北朝鮮情勢も話題となった。両首脳が拉致・核・ミサイル問題の解決に向け、緊密に連携していく方針を確認したのは当然だ。

 北朝鮮だけではない。中国で新型ウイルスの感染が拡大していた先月、中国公船は沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入するなど活動を活発化させている。現在は新型ウイルス封じ込めが喫緊の課題であるが、こうした中でも北朝鮮や中国への警戒を緩めてはならない。