水谷・伊藤組、中国の牙城を崩して日本初の快挙


「今までの全てのリベンジができた」「最後まで楽しかった」

水谷・伊藤組、中国の牙城を崩して日本初の快挙

混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼(左)、伊藤美誠組=26日、東京体育館(時事)

水谷・伊藤組、中国の牙城を崩して日本初の快挙

卓球混合ダブルス決勝で金メダルを獲得し、喜ぶ水谷隼(左)と伊藤美誠=26日、東京体育館(時事)

 満面の笑みで水谷と伊藤が抱き合った。日本男子の第一人者と女子の世界トップクラスに成長した20歳のコンビがついに中国の牙城を崩し、日本卓球界に五輪初の金メダルをもたらした。「中国という国に、今まで本当にたくさん負けてきて、東京五輪で今までの全てのリベンジができた」と水谷が言えば、伊藤は「すごく最後まで楽しかった」と喜びを爆発させた。

 第1、2ゲームは決勝の雰囲気にのまれたかのようだったが、第3ゲームの中盤からようやく「らしさ」が出てきた。お互いのサービスで崩しての3球目攻撃や伊藤独特の回転をかけたレシーブも出始めた。さらには経験豊富な水谷の、相手に強打をさせないコース打ちなどで盛り返して3ゲームを連取した。

 しかし、中国ペアも簡単には譲らない。最終第7ゲームまでもつれたが、前日の準々決勝で大逆転劇を演じた二人に怖いものはなかった。攻め続けていきなり8連続得点。相手に戦意を失わせるにはこれで十分だった。

 伊藤は、男子選手でも対応が難しいペンホルダーの許昕のフォアドライブにも力負けしなかった。コロナ禍の自粛期間には、3分間ボールを打ち続ける特訓などを敢行。卓球で使う筋肉は卓球でつけ、パワーアップしたことも結果につながった。

 何としても欲しかった金メダルだった。水谷はリオ五輪のシングルスで銅を獲得。しかし、「その上を目指すために5年間やってきた」。時には卓球が嫌いになりかけながらもこの日を目指してきた。伊藤にとっても卓球を始めた時からの目標で、サポートする母美乃りさんをはじめとした「チーム美誠」の悲願でもあった。

 幸先良く金メダルを獲得した二人が、日本チームに確かな勢いをつけた。残る種目でも中国を倒すシーンはありそうだ。