大橋悠依、勝負どころを見極め金「最後は気合」
水泳女子400m個人メドレーで、300~350mの泳ぎを重視
「オリンピック・チャンピオン」と呼ばれて表彰台の真ん中に上がったときに、「うれしさがあふれた」。大橋は女子400メートル個人メドレーで日本勢初制覇を遂げ、誇らしげに金メダルを首にかけた。
前半型の大橋が、300~350メートルの泳ぎを重視した。自由形に入ったところから差が詰まると、追ってくる選手が元気になる。そういう平井コーチの助言を受け、この間を8人中最速の31秒38で泳いでリードを保つ。狙い通りの展開に持ち込み、最後は2位に0秒68差で勝った。「余力はなかった。最後の50メートルはほぼ気合だった」
リオデジャネイロ五輪後に台頭し、日本女子、特に個人メドレーを引っ張ってきた自負がある。何度も世界の頂点を目指すと口にしてきたが、ここ数年は泳ぎがしっくりこずに歯がゆい思いをした。今年も思うように強化が進まない時期がある中で迎えた初めての大舞台だった。
4月の選考会後、古傷の左膝に痛みが出て練習を積めず、重圧も重なって泳ぎを崩した。6月末の五輪前最後の調整レースでは思うような記録で泳げず、焦りが生まれた。不安になって「一回、心が折れた」と言うが、平井コーチに「チャレンジするのをやめる選択肢もある」と言われ、「一晩時間をもらってチャレンジすると決めた」。そこからは弱気を抑え込み、本番では本来の、力みのない伸びやかな泳ぎが光った。
「暗くなったり、ずっと一人でいたりするときもあったけど、周りがずっと声を掛けてくれた。みんなで取れたメダル」。家族やコーチ、トレーナー、チームメートへの感謝の言葉が、自然と口をついた。