危機に安倍政権誕生の幸運
中国暴走に毅然と対応
インド・東南アジアで成果
2013年も世界日報の編集関係者はじめ、読者の皆様には大変お世話になり御礼申し上げます。2013年はアジアの情勢も激しく動いた1年であった。幸いに日本では安倍内閣であるがために十分にこの危機的状況にしっかりした対応ができたように思う。中国の非合法的一方的な防空識別圏の宣言に対しても毅然(きぜん)とした対応ができた。これが軟弱な政権であれば大変なことになったに違いない。
本来、専門家の予測では21世紀はアジアにとって輝かしい世紀になるはずであった。この予測は部分的には当たっていた。中国とインドが20世紀後半から21世紀の初め、経済的にも軍事的にも、あるいは宇宙開発の面においても飛躍的な発展を遂げたという点では、まさにアジアの時代の到来の予兆というべきものを感じさせた。
だが一方、この中国の発展はアジアの平和と安全を脅かすような傲慢(ごうまん)さに基づく拡張主義が台頭し、周辺諸国の安全保障を脅かすだけではなく、アジア全体の安全保障上のバランスを崩す要因となった。このような中国の暴走に対し、安倍首相は自国の安全保障を守ると同時に、アジアの平和と安全のため、日本が積極的に行動し、地政学的にも重要な国々との連帯を強めたことを高く評価したい。特に銘記すべきことは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々、さらにインドとの連帯を強化した点である。
11月末から12月初め天皇皇后両陛下のインド御訪問は、両国の戦略的パートナーシップをより確実なものにするため大変有意義であった。また、日本のイニシアティブで日本とASEANの首脳による東京会議も、日本の存在をアジアのみならず世界に示すと同時に、世界における日本の、そしてアジアのリーダーとしての立場を示す上で大きな意味があったと考えるべきであろう。
もちろん、中国は息の掛かった国々を利用して、この会議の成果を実らせないように動いたため、共同コミュニケなどにおいては多少足並みが揃わない面もあったが、総合的には大成功であった。この点において今後、安倍政権は更に慎重かつ努力を重ね初志貫徹をしてほしい。
また、安倍首相の言う戦後レジームからの脱却は、独立国家日本として、アジアのリーダーとして積極的平和活動を通して世界に貢献し得る国家となるためには、必要不可欠の政策であり選択であるが、これを実行していく上には国内外から妨害もあった。今後もメディアをはじめ様々な勢力を活用して抵抗してくるだろうが、それにめげず推し進めてもらいたい。それを成功させるには、民主主義の基盤をなす我々国民が傍観するのではなく、積極的に政策および政権を支持していくことも極めて重要であろう。
安倍政権誕生以来、日本国民の意識も良いほうに変化しているように思う。教育、防衛、外交は言うまでもなく、弱者に対し思いやりと気配りある正義感に基づいた政策を更に具現化してもらうことを期待したい。消費税アップはやむを得ないことであることは理解できるが、これが特に格差の激しい社会において取り残されている人々の救済、例えば高齢者の医療、介護ならびに低所得者の子供の教育などに重きをおいて、社会全体の包括的発展に寄与できるものになってほしい。
安倍政権は「日本を取り戻す」というキャッチフレーズで先の選挙を戦い、国民から圧倒的な支持を得た。取り戻す日本として私は特に日本人の高度な倫理観、公共心、華道、茶道、柔道などに見られる作法としなやかさ、優雅さをも取り戻してほしいと考えている。
インドのある有力な州首相は、州内においてかつての日本の学校教育における様々な制度、例えば生徒自らの校内清掃をはじめ、クラブ活動を通した先輩後輩など人間関係の構築などを導入し、模範校を作りたいと言っていた。私自身も教育勅語の精神を取り戻すことは、日本が自国を再建し強くするため、そして誇りと自信に満ちた世界に貢献し得る人材を育成する上で、大切だと考えている。
日本は先の戦争で敗北した結果、極端な懺悔(ざんげ)主義者、偽善的平和主義者が生まれたため、わがままな社会と身勝手かつ無責任な言論者たちが多くなった。日本の言論人やメディアは都合主義で風向きを読んで発言するのではなく、真実から目を逸らさず正義をもって、国内外のことを視野に入れ発言してほしい。日本の周囲には北朝鮮や中国のように権力闘争において一方的に断罪し投獄したり、死刑にするような極端な政権があるという現実を踏まえて考え、行動してほしいと切に願っている。
2014年1月26日のインド共和国記念日に、日本の安倍首相が主賓として招かれ出席することになっている。これを機に日印関係を磐石なものにし、アジアの平和と発展に貢献し得る戦略的パートナーシップとして名実ともに積極的に平和の実現に貢献することと、皆様にとって新年が素晴らしい年であるよう心から祈願致します。