日本人が知るべき日本列島
広範囲に及ぶ火山の島
激しい気候変化と地震頻度
日本人は日本列島のことをどれだけ知っているだろうか。少々、地理の授業になるかもしれないがお付き合いいただきたい。
「日本列島の面積は?」との質問に、正確に答えられる人は…。
正解は約38万平方㌔㍍。地球の陸地面積の合計は1億4724万4000平方㌔㍍あり、日本列島の占める割合は0・25%。世界の国の中では61番目の広さだ。そして、日本列島には約1億2000万人が暮らしている。
日本の「領海・接続水域・排他的経済水域」の合計は約447万平方㌔㍍。日本列島の12倍の面積があり、世界の国の中で6番目の広さを擁している。さらに、ロシアが不法占拠している北方領土、韓国が不法占拠している竹島が加われば、日本列島の面積も海洋面積も、現在よりも拡大することになる。
日本列島は北緯20度から45度、東経120度から150度の間にあり、多くの島々から構成されている。北海道、本州、四国、九州(沖縄本島を含む)をはじめとして6852の島(周囲100㍍以上)が点在し、それに伴う海岸線の総延長距離は約3万3889㌔㍍にもなる。
次に「日本列島の東西南北の端は?」と質問されて、正確に答えられる人は…。
正解は、最東端は南鳥島。最西端は与那国島。最南端は沖ノ鳥島。最北端は択捉島。
南鳥島と沖ノ鳥島は東京都小笠原村に属し、それぞれ東京都庁(東京都新宿区)から直線距離にして、約1870㌔㍍と約1740㌔㍍離れた太平洋上にある。
南鳥島は一辺が約2㌔㍍の正三角形の形に似た島で、現在は島民は誰一人いない。気象観測などの業務を行う気象庁の職員や自衛隊の隊員が交代しながら常駐しているだけだ。沖ノ鳥島は東小島(東露石)と北小島(北露石)と呼ばれる2島とそれを取り囲むサンゴ礁からなる。満潮になると、東小島が約6㌢㍍、北小島が約16㌢㍍しか海面上に姿を見せない。干潮になると、東西約5㌔㍍、南北約1・7㌔㍍の広さを持つ茄子のような形のサンゴ礁が海面上に姿を見せる。郵便番号、住所もあるが、民間人の立ち入りは禁止されている。
沖縄県八重山郡与那国町に属する与那国島は、人口約1500人の島で、日本人が暮らす最西端の島である。同県那覇市から直線距離で約1100㌔㍍離れた東シナ海上にある。南西諸島防衛強化のため、陸上自衛隊の沿岸監視隊が平成28(2016)年3月までに配備を完了する予定だ。
択捉島はロシアによって不法占拠されているため、日本人の島民は1人もいない。ロシアは南樺太、千島列島も不法占拠しており、最北端は択捉島ではなく正確には占守島となるが、ここでは択捉島にしておく。
最後は「現在、日本人が暮らす最東端、最南端、最北端は?」という質問に、正確に答えられる人は…。
正解は、北海道の納沙布岬が最東端、宗谷岬が最北端、そして最南端が人口約500人の沖縄県八重山郡竹富町に属する波照間島。
以上の3つの質問の中で、最初の質問には答えられたとしても、残り2つの質問に対して、正確に答えられた人は少ないのではないだろうか。
南北の長さ(直線距離)は、最南端の沖ノ鳥島から最北端の択捉島までの緯度の差を調べると、約2800㌔㍍ある。東西の長さは、最東端の南鳥島から最西端の与那国島までの経度の差を調べると、約3100㌔㍍となる。そのため気候的には、北は亜寒帯、南は亜熱帯につながる気候変化に富んでいる。広大な国土を持つロシアやアメリカならいざしらず、約38万平方㌔㍍しかない国土で、気候変化がこれほど激しいのは日本ぐらいだろう。1年間の平均気温を見ても、最も寒い北海道の内陸部と最も暖かい沖縄とでは、約15度以上も違う(国土技術研究センター『東西南北に長い弓なりの国土』より)。
日本列島は火山列島でもある。活火山とは、過去1万年以内に噴火した火山のことをいうが、地球上には約1500の活火山があり、そのうちの約7%にあたる110個の活火山が日本列島に存在する。あまり多くないように見えるが、日本列島の面積から考えれば、活火山の密度はかなり高い。また、噴火は恐ろしいが、火山は温泉や地熱などの恩恵を日本人に与えてくれている。
地球上には地震がまったく起きない国もある。それに対して、日本では身体に感じない地震も含めると1日に約300回も地震が起きている。5分に1回の間隔だ。2000年から2009年に地球上で起きたマグニチュード6・0以上の地震の20%が日本列島周辺で起きており、地震は日本の代名詞ともいえるだろう。
過去・現在・未来と続く歴史のなかで、日本列島とともに日本人は生きなければならない。日本列島について興味や関心を持ち、正しい知識を持つことは、日本人として当然必要なことなのである。
(はまぐち・かずひさ)