美しい宇宙解釈と醜い解釈
「史上最大の知的挑戦」
ウィルコックの核心的洞察
私(ともう一人の共訳者)の翻訳したデイヴィド・ウィルコック『ザ・シンクロニシティ・キー-宇宙と人生を導く隠れた叡智』(創造デザイン学会訳、アートヴィレッジ)は、4月中旬には書店に並ぶ予定である。「シンクロニシティ」とは深層心理学者C・G・ユングの用語で、意味のある、意図されたかのような偶然の一致を意味する。この本は、「宇宙と人生を導く隠れた叡智」という副題が示すように、日常の経験としてのこの現象だけを論ずるのでなく、宇宙の秘密への多方面からのアプローチを集約する「鍵」として、この語を題に選んでいる。
原著出版者による「序」にはこう書かれている――「シンクロニシティは幸運な偶然以上のものである。それは宇宙の繋がりの一つの現れである。それは、すべてが一体化した、繋がった全体の一部だということを証明するものであり、生命を確認するものである。(そこにあるのは)宇宙全体に意識が行きわたっているという核心的洞察である。宇宙は生きていて、我々は、それを一つに結び合わせる生きた織物の一部だと彼は信ずる。何という美しい考え方だろう。」
私は「訳者による解説」で、これは「生きた宇宙の構造、その中での人間の本来の位置、それを導く神秘的な知性という究極の“デザイン”の問題をあらゆる方面から解明しようとする、史上最大の知的挑戦といってよいものである」と書いた。「史上最大の知的挑戦」という言い方に誇張はないと思う。私はなぜそう言えるかも説明している。しかし「何という美しい考え方だろう」とこの序文は言っている。この方がズバリ的中している。美しい宇宙解釈というのが、最もこの本の本質をついている。美しい解釈は何によらず、ほとんどの場合正しく有効な解釈である。
我々は宇宙を美しく有効に解釈することができるか、それとも不満や恨みをこめて醜く無効な(有害な)解釈しかできないか、どちらかである。我々の生きる世界の解釈の正否を問う以前に、この美醜の直観があり、これがすべてに優先する。
それは続いて、「彼はまた、無遠慮なほどにポジティブであり、楽観主義的」だと言っている。実はウィルコックはこの本で、ほとんどの人が、知れば卒倒するような、こんな恐ろしい世界に住んでいたのかと愕然とするような事実を暴露している。にもかかわらず彼は(根拠があって)「無遠慮なほどに楽観主義的」であり、「彼の言葉と研究は、希望と愛のメッセージをもたらす」。
これに対して唯物論的・無神論的な宇宙解釈の、何と醜いことであろうか。
折しも現在、ID(インテリジェント・デザイン)運動の総本山である「ディスカヴァリー研究所」が、“The War on Humans”(人類に対する戦い)という半時間ほどの映画を編集していて、クリックして見ることができる。これによると、ちょうど1世紀前のこの時期の、ダーウィンから発してヒトラーに至る「優生学」運動の再現のようなことが、現在のアメリカで起こっているようである。
これは、地球に害をもたらすだけの人間に生きる権利はないという「暴力含みの」運動のようであり、この映画は明らかにしていないが、その背後に、ウィルコックがこの本で「地球の敵」と呼んでいる陰の権力集団があることは、ほぼ間違いない。彼らの言うように(そして我々の教科書に書かれているように)、人間を下等動物と区別する正当な根拠がないとすれば、その人間を殺す罪は軽くなる。この繰り返す人類の業病のような狂気を癒す道は、ウィルコックのような哲学によるしかない。
なぜダーウィニズムという根拠のない、時代遅れの思想がなくならないのか? なぜ、ダーウィニズムを典型とする主流科学の唯物論的前提が、死守されねばならないのか? それは我々を支配しようとする者にとって、これほど都合のいい道具はないからである――ひとつは人間蔑視の思想として、もう一つは人間の霊的進化を妨げるための牢獄として。彼ら自身は唯物論者どころか、りっぱな宗教信者――ルシファー信者――である。今、何か異常なことが起こっていると気付いている人々はおそらく増えている。科学はこんなものではないはずである(特に気象学者に聞いてみたい)。
この本のキーワードの一つを「地球の敵」と私は訳したが、これはGlobal Adversaryであって、地球規模の「逆らう者」つまりサタンを意味する。これは「マタイ伝」13章に出てくる、「敵が来て麦畑に毒麦を蒔いていった」というくだりの「敵」もこれである。この聖書の喩え話は、ちょうど今この時期、2014年あたりのことを言っているとしか解釈できない。それくらい我々は人類史上の決定的瞬間を生きている。
いま麦が成長して「穫り入れ」の時期となり、良い麦と毒麦の区別が誰の目にも明らかになった。「毒麦」は刈り取られ燃やされると言われている。この「穫り入れ」Harvestという言葉も、『シンクロニシティ・キー』では、近未来に現実に起こることとして、キーワードの一つになっている。
(わたなべ・ひさよし)






