中国の脅威に一致団結せよ
首相批判は方向が違う
米国は日本の味方と明快に
相変わらず中華人民共和国は日本の領海、領空を侵して挑発行為を続けている。過去26年間は軍事費を2桁で増額し続けている。直近の全国人民代表大会における李克強首相は、更に軍事力を強化し強い海洋国家を目指すと声高に宣言している。彼は「海洋は我々の大切な青い国土だ。海洋経済を発展させ、国家の海洋権益を断固として守り、海洋強国作りに力を入れる」と発言した。
また、習近平国家主席も2年前の党大会で中国の「夢」とは170年前のアヘン戦争以来の失われた中国の威信を回復し、世界を瞠目(どうもく)させる偉大なる復興だと公言し、一方的に防空識別圏を決め付け挑発的行為を繰り返している。日韓2カ国間の関係にも割り込み、ありもしない南京大虐殺や慰安婦問題などを国際問題化して日本のイメージを著しく傷つけている。
このような状況に日本はというと残念ながら、この危機的状況においても民主党など野党及びメディアは、まるで中国のこのような悪辣(あくらつ)な行為を隠蔽(いんぺい)するかのように連日NHKの会長を国会に呼びつけ、子供のいじめのようなことをしていた。また、これらの問題の、ある意味では根源を作ったとも言える自由民主党の幹事長や政府の首相に最も近い立場で「要」とも言える官房長官経験者の加藤紘一氏、古賀誠氏、野中広務氏たちは、自分たちの責任転嫁ならともかく、相手国を擁護するような発言をし、この危機的状況に対して懸命に対応しようとしている安倍首相の批判を始めている。
彼らの軽率で偽善的な善人ぶりが今の慰安婦問題などの原因になっていることを反省し、本来であれば国民に謝罪し、責任ある日本人、政治家として現体制を側面から支えることこそが筋道ではないかと私は思う。
民主党にしても日本国の国会議員として、日本人としてやるべきことは、今現在日本が直面している諸問題の解決に全身全霊で臨むべきなのに、党利党略を優先しNHKの会長を吊るし上げることで最終的に任命権者である安倍首相の責任に持ち込もうと必死になる姿は、普通の国や国民から見ればこれほど醜いことはない。良識ある日本国民は、国は一人ひとりの国民の集合体であり、国を護るということは自分と自分の家族を守るということと認識し、外からの敵のみならず国内の良からぬ勢力に対しても監視の目を光らせる必要があるのではないか。
もう一つ気になることは同盟国であるはずのアメリカの曖昧な姿勢である。例えばケリー国務長官は「我々はこれらの島々(尖閣諸島)の主権に関しては、どちらの味方をするでもない。ただ現在実質的に日本の施政権の下にあることを認めている」というような曖昧模糊(もこ)な表現をしている。勿論アメリカの官僚などは日米安保条約を遵守(じゅんしゅ)すると言っているが、当の中国はこのような発言や態度から、逆に自信を持ち強気な態度を固める一方である。
最近中国との関わりのあると思われるアメリカやオーストラリアなど西側の専門家と称する者の中には「Sharing power with China」という問題解決のような提言を展開している。つまり、中国が日本や台湾に対して、武力を使わない代わりにアメリカは中国のこの地域における優位性を認め、アメリカと相互に覇権を認め合うという意味である。確かに今のオバマ政権下のアメリカは中国に対し、真正面からぶつかる力も意思もないかもしれない。
だが、中国はこれらの専門家が考えるほど甘くないことは中国の今までの言動を見ても明らかである。中国からすればこのような考えの持ち主が出現すること、世論がそれを受け入れるような環境になれば、アメリカは白旗を揚げて降参してきたと解釈するであろう。そのようなことが起きると、ますます中国が図に乗ってくるに違いない。
かつてアメリカは同盟国としての旗が見えないと言って日本の同盟国としての頼りなさを指摘したが、アメリカこそ今立場を明快にし、日本の味方であることを明らかにすべきである。それが日本のためのみならずアメリカ自身の尊厳と信頼を守ることにもなるだろう。
アメリカは日本と韓国双方に働きかけをし、日韓米の首脳会議を実現させた。そしてその代償として日本の安倍政権に対し、河野談話を継承することを厳守させようとしているように見える。これも一時的な救急手当てになるかもしれないが、問題の本質を解決するものではない。むしろ、私はこの際、日韓両国のためにも河野談話を再検証し、事実関係を明確にすることの方が最良の方法であると思う。
韓国は慰安婦問題に対し、それだけ自信があれば再検証することを恐れることもないはずである。そしてアメリカは両国の友人としてその真実を明確化するための環境づくりに最善を尽くし、アメリカが言い続けてきた正義と自由を有言実行し、アジア太平洋地域の真の脅威に向かってその野望を食い止めるため一致団結すべきである。