【社説】まん延防止延長 追加接種柱に出口戦略示せ
新型コロナウイルス感染防止対策として、きょう6日を期限としていた「まん延防止等重点措置」が18都道府県で21日まで延長される。
東京など9都県は2回目の延長となり、期間も2カ月に及ぶことになる。重点措置の効果には疑問の声もある中で、政府はより明確な出口戦略を示していくべきだ。
感染減少ペースが鈍化
一方、病床使用率が50%を下回り下降傾向にある福島、新潟、岡山、福岡など13県は予定通り6日で解除される。
感染力の強いオミクロン株による「第6波」は、ピークを過ぎたとみられるが、感染者の減少ペースが鈍化傾向にあり、病床使用率がなお高い水準にある。重症化リスクの高い高齢者施設や子供がいる家庭内での感染も続いている。そういう状況で、18都道府県での延長は止むを得ないところだが、ただ重点措置を続ければ出口が見えてくるわけではない。
岸田文雄首相は「慎重さを堅持、強化した地域医療体制を稼働させながら、同時に第6波の出口に向かって徐々に歩みを進めていく」としているが、出口戦略の柱が明確でない。ワクチンの3回目(追加)接種が出口戦略の鍵であることは明らかなのだから、政府はこのことをさらに声を大にして訴え、具体的に地方自治体の接種加速を強力に後押しする必要がある。
政府は3回目接種について「1日100万回」を2月中に2回記録したと発表した。岸田首相が2月後半までに実現するとした目標は一応達成した。しかし、全人口の23%にしか至っていない。2月末までに97%の自治体で終了するとしていた肝心の高齢者への接種は6割に満たない。
高齢者施設でクラスター(感染者集団)の発生が前週比で約400件も増加している。高齢者施設は、どこよりもクラスターの発生に気を付けなければならない。しかし感染対策に万全を期しても、感染力の強いオミクロン株を完全に防ぐことは難しい。医療関係者や施設の職員などに続いて真っ先に行うべきは、入所者の追加接種である。
今後、オミクロン株より感染力が強いとされる派生型「BA. 2」への置き換わりが進むとの予測もある。そういう状況下でまん延防止等重点措置を続けていくだけでは、現在の感染者の減少ペースが急速に早まるとは思われない。ワクチンの追加接種の加速で新規感染者の高止まりを打開すべきである。
重症化のリスクが低いとはいえ、子供や若い世代の感染を抑えることができなければ出口は見えてこない。子供や若い世代への追加接種も加速していく必要がある。
主体的に対策を取ろう
重点措置の延長はこれからの卒業や入学、春休み、年度末の会社での異動など人々の動きが盛んになる時期に重なることも考慮に入れたものだ。
とはいえ、人との接触が一概に感染リスクを高めるわけではない。これまで行ってきた対策を続け、大事な場に参加する前にワクチンの追加接種を終えるなど、一人一人が主体的に対処していくことが求められる。