贅沢三昧の北朝鮮独裁者
浪費は既に父の2倍以上
住民は3割が栄養失調
北朝鮮国防委員会第1委員長の金正恩は2013年に、高級時計など約2億7000万㌦の贅沢(ぜいたく)品を輸入し、自分と妻の李雪主(リソルジュ)の豪華な生活に使い果たした。その一方、三代世襲政権の絶対的な抑圧統治体制を維持するために、贅沢品を幹部に与える「贈物政治」で党や軍幹部ら側近の忠誠を繋(つな)ぎ止めると同時に、抵抗と裏切りを予防している 。
金正恩政権がこの1年間に輸入した贅沢品は、液晶ディスプレイ(LCD)3690万㌦、化粧品389万㌦、高級タバコ5647万㌦、スカーフ類18万㌦などだ 。
2月18日に国連北朝鮮人権調査委員会(COI)が発表した報告書は、金正恩が2012年の1年間に6億4580万㌦を贅沢品の輸入に浪費し、これは同じく「贈物政治」を行った金正日政権時の年間輸入額である3億㌦を2倍以上も上回る巨大な額であると指摘した。中には李雪主が出産後に使ったスイス産の粉ミルク、欧州産の高価幼児用品が大量に含まれていたという 。
北朝鮮はこのような贅沢品を輸入する外貨を調達するために偽ドル紙幣の製造と流通、そして麻薬と偽タバコの販売や象牙の密輸出入にまで手を出し、手段と方法を選ばない 。
世界の富豪も驚くほどの金正恩の贅沢三昧は、米国の元プロバスケットボール選手デニス・ロドマン氏(52)が昨年9月に訪朝した後に述べた目撃談からも把握することができる。同氏は金正恩個人所有の島で、彼とともにほとんどの時間を豪華ヨットに乗って楽しんだという 。
金正恩は2月18日に平壌人民劇場で開かれた金正日の誕生祝賀公演で、妻の李雪主とともにスイスの高級ブランド時計モバードをペアルックではめて登場した。価格は2000万ウォン台だが、10億の値がついたパテックフィリップのような最高級のブランド時計は北朝鮮住民の目を気にしてか、自宅に置いて来たものと思われる 。
金正恩とほんの一握りの平壌特権層は豪華マンションで暮らし、食にも事欠く絶対多数の一般住民とはかけ離れた別天地で、超豪華な生活を満喫している。この生活は飢餓状態にある絶対多数の北朝鮮住民の血と汗を搾り取った結果物だ 。
アメリカの食糧政策研究所は、「2013年世界飢餓指数報告書」の中で北朝鮮人口の約32%が栄養失調、その中でも5歳未満児の低体重比率は18・8%(死亡率3・3%)であると発表した 。
一般住民は1990年代の大洪水以降、韓国と国連の食糧援助でかろうじて生き延びてきたが、金正日―金正恩政権の核開発による国際的信頼失墜、国連制裁も公然と黙殺するなどで、経済難、食糧難をさらに加重させた。金正恩政権は最近、脱北ルートである中朝境界線まで封鎖し、住民の基本的生存権まで剥奪している。
在日朝鮮人からも搾取
朝鮮総連の同胞(在日朝鮮人)も70年間、金父子専制王朝の偶像化のために北朝鮮に莫大な送金をするなど、奴隷のように搾取されてきた。60年前、金日成(キムイルソン)の口車に乗って、約10万人の在日朝鮮人たちが北朝鮮行きに参加したが、ほとんどが極度の冷遇と飢えの生き地獄から抜け出すことができずに、悲惨な一生を終えた 。
朝鮮総連同胞たちも、北朝鮮住民を略奪、搾取し奴隷化してきた三代世襲独裁政権を完全に解体するために、その先鋒に立つべきである 。
(ヨ・ヨンム) 高麗大学法学部卒、同大法学博士。東亜日報論説委員、統一研究所長、統一院政策評価委員、米ジョージワシントン大客員教授、大韓国際法学会理事兼副会長、KBS時事解説者など歴任。現南北戦略研究所所長、ニュース&ピープル・コム代表兼主筆。





