台湾の“青年パワー”と韓国


韓国紙セゲイルボ

未成熟な南北統一の外的条件

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6日、学生が占拠する台湾・台北の立法院議場を訪れた王金平立法院長(中央右)(EPA=時事)

 台湾で“青年パワー”が炸裂(さくれつ)している。先月18日から中国とのサービス貿易協定撤回を要求して、若者たちが憲政史上初めて立法院(国会)を占拠している。米ウォール・ストリート・ジャーナルは彼らが、「台湾の政治地図を変えている」と評価するほどだ。

 青年が通りに飛び出したのは、台湾経済の中国隷属に対する憂慮のためだ。中国の安い労働力が押し寄せれば就職難が加重される。根底には台湾が共産党体制へ吸収されるという恐怖感がある。

 この反中国、反統一情緒は冷厳な現実認識を土台にしている。最近の国際情勢を見ればその不安感を理解できる。米学界の一部で「台湾放棄論」が出ているのだ。米国が台湾に執着するよりは中国と関係改善をした方がより大きい国益が創出されるだろうという主張である。

 習近平国家主席が先月、パリで「中国という獅子はすでに眠りから覚めた」と宣言した。目覚めた中国は経済、軍事、外交など全分野で猛威を振るい始めている。国際政治学者のジョン・ミアシャイマー・シカゴ大教授は最近の「さらば台湾」というコラムで、中国の勃興が加速されれば、台湾は結局中国の一部になるだろうと主張した。

 ロシアのクリミア半島編入は台湾青年を立ち上がらせる起爆剤になった。「目覚めた獅子」は米国に対して新しい大国関係を打ち出し、台湾問題から身を引くことを推奨している。クリミア半島でロシアの一撃を喰(く)らった米国が台湾を守れるかも疑問だ。

 クリミアと台湾の共通点は隣接国の経済への依存性が大きいという点だ。これについては韓国も例外ではない。中国は韓国の最大輸出市場であり、韓国の対中依存度は深刻な水準を超えている。

 最近、統一議論が盛んになっているが、在韓米軍なしで自主国防が不可能な韓国にとって、衰退していく米国は不安を増大させる。国防費を削減する米国は集団的自衛権拡大など日本の武装を促す雰囲気だ。米国の空白を日本が埋める状況を韓国は積極的に受け入れることができない。

 分断が自らの手で決定されなかったように、統一も南北の意思だけでは実現しない。周辺強大国の状況を見てみよう。韓国動乱で中国は米軍の越境を意識して人民支援軍を韓半島に投じた。同じ状況が来れば同じ行動を取る可能性が大きい。韓国動乱で復興した日本は強い「統一韓国」を喜ばず、ロシアはそれこそ日和見主義の典型で統一韓国を忌避する様子が歴然だ。

 このように統一の外的条件はまだ成熟していないようだ。むなしい統一宣伝よりはわれわれの中の四分五裂した統一議論を具体化し、周辺国外交を強化しなければならない時だ。朴槿恵政府の「統一大当たり」論が内容を充実させ成果を生むことを期待する。

(シン・ドンジュ北京特派員、4月7日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。