沖縄を「健康」拠点に

島尻安伊子 沖縄・北方担当相に聞く

 島尻安伊子沖縄・北方担当相は28日、世界日報社を含む報道各社のインタビューに応じ、沖縄振興策や北方領土対策などについて語った。

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 しまじり・あいこ 昭和40年、宮城県生まれ。上智大卒。平成16年、那覇市議会補欠選挙で初当選。2期目当選後同19年、参議院議員補欠選挙で初当選。同22年、参議院2期目。第2次安倍内閣では、内閣府大臣政務官・復興大臣政務官。現在、沖縄・北方担当相。

 ――沖縄振興では具体的に何をやっていくか。

 沖縄は東アジアの中心に位置する地理的な特性を持ち、日本一高い合計特殊出生率を誇っている。そういった優位性や潜在力を生かし、沖縄が日本のフロントランナーとして経済再生の牽引(けんいん)役となるようなイメージをもってやっていきたい。

 現在、第5次の沖縄振興法の下で進んでいるが、この中で例えば、子供の教育の問題や貧困の問題にも光を当てていきたい。強い経済のためには人材が必要だ。そういう観点から沖縄での教育をしっかりとやる。

 ――駐留軍用地の跡地利用に関して国際的な高度先進医療の拠点づくりについてのビジョンと具体策は。

 西普天間住宅地区跡はしっかりと跡地利用を進めていかないといけない。国際医療拠点は前仲井真弘多知事、佐喜真淳(宜野湾)市長の強い希望があり、その流れの中でこの構想を進めていく。

 例えば沖縄の健康長寿を取り戻すといった観点も踏まえたい。世界で健康と言えば沖縄と言われるようになったらいい。沖縄は、野草や薬草の宝と聞く。予防医学の観点からの研究開発拠点とか、県民の健康を維持していく方策を、試験的にやっていくことも考えられる。つまり、先進医療も予防医学も必要である。また、西普天間の跡地構想の中には、医療拠点のほかに、普天間高校の移設などいろいろなものが入っており、これらを進めていく。

 ――観光ビジネス拡大への抱負について。

 沖縄県への入域観光数が大変伸びている。2本目の滑走路が2020年に共用開始の予定で工事が進められている。アジアに向けてのゲートウェイという言葉もあるように沖縄のポテンシャルを生かしたい。

 ――米軍普天間飛行場をめぐる政府と沖縄県の法廷闘争が沖縄振興に与える影響は。

 沖縄担当相として、振興、(米軍基地)跡地利用をしっかり進めていくために県や関係市町村と連携していくことに尽きる。動きについては、今後しっかり注視していきたいと思う。

 ――基地問題と振興はリンクしているように見える。

 印象としてそのように見えるかもしれないが、政府としては、基地問題と振興はリンクしないという立場だ。私は振興でしっかり頑張りたい。

 ――2010年の参院選で普天間の県外移設を公約して再選されたが、今は辺野古移設を推進している。なぜ変わったか。

 危険性の除去を強く考えているからだ。最悪なのは、(普天間)飛行場の固定化だ。日米合意に基づく今の政府の方針、これが一番(危険除去には)早いと考えている。

 ――北方領土に近い地域に入る予定は。また、4島への訪問意欲は。

 一日も早く現地を訪れたい。そのための調整を鋭意行っている。4島の訪問については、本年度はこの事業が終わっているので来年度事業計画が決定された段階で考えたい。

 ――今年はビザなし交流がロシア側の都合でたびたび中止になった。国民への啓発にはどういう課題があるか。

 事業の在り方をしっかり考えていきたい。前年度の事業を今年もまたやろうというようにマンネリ化しているとの指摘も受けている。みんなが参加したいと思ってもらえるような事業をやっていきたい。