「パートナーシップ制度」の広がり
同性婚容認による「家族の解体」
同性カップルの関係を「結婚」に準ずる関係と認定して証明書を発行する「パートナーシップ制度」が自治体に広がっている。4月からは、札幌市が政令指定都市として初めて同制度をスタートさせる。全体としては6例目。
パートナーシップ制度の広がりは、家族の核となる結婚の概念を変えるものである。健全な家族が基盤となって、安定した社会が築かれていることを考えると、現在の動きは、社会混乱につながる重大問題である。にもかかわらず、論壇において、この危機的状況を真っ正面から論じる論考がほとんどないのは、社会問題に対するリベラル左派勢力の浸透の表れだろう。
そんな中にあって、前衆議院議員の杉田水脈は、この動きは「家族解体」であると警鐘を鳴らす論考を寄稿している。月刊「新潮45」の昨年11月号に寄稿した論考「『LGBT』支援なんかいらない」については、すでにこの欄で取り上げたが、それに続いて同誌3月号に「『多様な家族』より普通の家族」に寄稿し、「理由はどうあれ、彼らの最終目的は国に同性婚を認めさせること」と喝破している。
LGBT運動がマスコミにもてはやされた影響なのか、「同性婚」に反対する人の中にも、パートナーシップ制度なら認めてもいい、との声がかなりある。しかし、この考え方は問題の本質を見誤る危険なものと言わざるを得ない。
なぜなら、男女の関係と同性カップルの関係はまったく同等というのがLGBT運動の主張だからだ。もし、パートナーシップ制度でとどまるなら、同性カップルの関係は結婚より劣ることを認めることになってしまうのである。この運動はそのようなことは絶対に容認しない。
杉田は昨年、論考を寄稿した後、ネット上に「杉田水脈は差別主義者だ」という書き込みが相次いだことを明らかにしている。同性婚に反対を唱える人に対し「差別主義者」「異性愛中心主義者」というレッテルを貼って攻撃することは恒常化しており、その執拗(しつよう)さからは、この運動の本当の姿を察することができる。
さらに、杉田も指摘しているように、LGBT運動が厄介なのはリベラル勢力が巣くう国連や国際機関が「人権尊重」「男女平等」などの大義名分を掲げて、後押ししているからだ。
国の内外からの圧力に屈せずに、日本の文化の柱となる「普通の家族」を守るためには、戦後の個人主義の中で、国民が見失いつつある男女の結婚の意義(子供を生み育てること)を、読者に再確認させるとともに、区別と差別の違いを説得力を持って訴える論考が論壇を飾ることを期待したい。(敬称略)
編集委員 森田 清策