陛下メッセージ、「やさしさあふれる」


真摯な思い、率直な御不安

「自然なお考え」皇居、銀座、共感広がる

 「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないか」。天皇陛下が8日午後、国民に向け、「お気持ち」を表明された。「高齢による体力の低下」「次第に進む身体の衰え」。公務に対する真摯(しんし)な思いとともに繰り返されたのは、老いへの率直な御不安。約11分間のビデオメッセージからにじむ生前退位の御意向は、国内外に伝わった。

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新宿で天皇陛下のビデオメッセージが映し出された大型ビジョンを見る人たち=8日午後3時4分、東京都新宿区

 東京都千代田区の皇居・坂下門前では、自宅で映像を見てやってきた無職後藤佳奈子さん(53)東京都足立区が「責任感の強い、やさしさにあふれたメッセージだった」と感じ入った様子で話した。サイクリング中の大学4年生小笠原崇文さん(22)川崎市は「公務を十分果たされたと思うし、お体を大切にしてほしい」と気遣った。

 東京・銀座の数寄屋橋交差点では、新聞社が相次いで号外を配布。じっくりと読んだ男性会社員(58)は「お気持ちをご自身の言葉で説明されたのは、開かれた皇室の象徴。陛下の意思が尊重されるようになればいい」と強調した。

 陛下と同年代の人たちには、共感が広がった。観光で坂下門に来た男性(82)千葉県柏市は「同い年なので身体的に厳しいのは分かる。次に引き継ぐのは自然な考えだ」。号外を読んだ女性(83)も「陛下は気分の良しあしにかかわらずご多忙。しんどいよ」と思いやった。