「象徴の責務果たす」 天皇陛下60歳に
即位後初の会見
天皇陛下は23日、60歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、お住まいの赤坂御所(東京都港区)で即位後初の記者会見に臨み、「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、象徴としての責務を果たすべくなお一層努めてまいりたい」と決意を述べられた。
昨年5月1日の即位当日の「剣璽等承継の儀」と「即位後朝見の儀」の際は「我が身が担う重責に思いを致し、身の引き締まる思いがし、厳粛な気持ちになりました」と振り返り、約10カ月を経て「天皇の一つ一つの公務の重みと、それらを行うことの大切さを感じております」と心境を語られた。
憲法に対する思いを問われると、「憲法を順守し、象徴としての務めを誠実に果たしてまいりたい」と話された。
人工知能(AI)やスマートフォンの普及、気候変動などを例に挙げ、「社会の変化や時代の移り変わりに応じた形でそれに対応した務めを考え、行動していくことは大切」と新たな時代の皇室の役割に言及。ライフワークの水問題を切り口に、貧困や防災などの諸問題に考えを巡らせることができるとして、「『水』問題への取り組みで得られる知見も大切に生かしていきたい」と述べられた。
療養中の皇后陛下については、即位関連の行事や儀式に全て出席できたことを「私も雅子もとてもうれしく思っております」とする一方、「決して無理をすることなく、できることを一つ一つ着実に積み重ねていってほしい」と気遣われた。
希望していた学習院大文学部への進学が決まった長女愛子殿下には「充実した学生生活を送ってほしい」と期待。上皇陛下御夫妻には感謝の気持ちを何度も示し、3月末までに予定されている転居に伴う負担を案じつつ、「末永くお健やかにお過ごしいただけますよう」と願われた。