「災害ない1年祈る」 天皇陛下が新年の感想


 天皇御一家は1日、新年を迎えられた。天皇陛下は年頭に当たっての感想を、宮内庁を通じ文書で発表。即位に伴う一連の行事を無事終えたことに安堵(あんど)する一方、昨年の台風や大雨の被災者を案じ、「本年は、災害がない1年となることを祈ります」とつづられた。

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天皇御一家は新年を迎えられた=2019年12月12日、東京・元赤坂の赤坂御所(宮内庁提供)

 文書では即位以来、「国民の幸せを願いながら日々の務めを果たし、今日(こんにち)まで過ごしてきました」とした上で、多くの人から祝福を受けた昨年を「誠に感慨深いものでした」と回想。「新しい年が、日本と世界の人々にとって幸せな年となることを心より願いつつ、務めを果たしていきたい」と記された。

 天皇、皇后両陛下は今年、四つの主要地方公務として5月に島根県で全国植樹祭、秋に鹿児島県で国体、宮崎県で国民文化祭、宮城県で全国豊かな海づくり大会に出席される。春には国賓として来日する中国の習近平国家主席の歓迎行事に臨むほか、夏の東京五輪・パラリンピックでは天皇陛下が名誉総裁として開会宣言される。

 陛下は2月23日に60歳の還暦を迎えられる。今年からこの日は祝日となり、皇居で誕生日の一般参賀が行われる。長女愛子殿下は今春高校を卒業し、大学生となられる。

 4月19日には、皇位継承に伴う一連の式典の最後として、秋篠宮殿下が皇位継承順位1位の皇嗣となったことを国内外に宣言する「立皇嗣の礼」が行われる。

 上皇御夫妻は3月末までに高輪仙洞仮御所(東京都港区)に転居する予定で、荷物の整理など準備を進めている。

 宮内庁はこれまで、天皇、皇后だった上皇御夫妻が前年に詠まれた和歌5首と3首を新年に当たり公表。今年は、昨年出席した四つの主要地方公務に天皇陛下が寄せられた4首の和歌を後日発表する。年頭の感想は上皇陛下の負担軽減のため、2017年から取りやめとなっていたが、今年から復活した。