日本の大学入試は○×式とも言われる客観式が…


 日本の大学入試は○×式とも言われる客観式が主流だ。採点がしやすく、客観性も高いのだから、これまで行われてきたのも分かる。

 こうした中、2020年度から実施される「大学入学共通テスト」では、国語と数学で記述式が導入される運びだ。受験生は、制限字数内で文章を組み立てなくてはならない。

 文章である以上、論理展開がきちんとしていることが必要で、内容さえ合っていればいいというわけにはいかない。文章を書くのが苦手な受験生にとっては負担が増える。

 試験問題を作る側の大学入試センターの負担も大きくなる。記述式となれば、金も人手も時間もかかる。一人の採点者では公平性が保たれないから、複数で見なくてはならない。○×式と違って、記述式は採点者による差異が大きいからだ。時間がかかれば、入試日程に影響が出ることも考えられる。

 敢(あ)えて手間暇かけて記述式を実施するのは、思考力、判断力、表現力を審査するためとされる。これは○×式では難しい。面倒なことは分かり切った上で、記述式を採用することが必要と国が考えた結果だろう。

 記述式は各大学においてはこれまでも実施されてきた。それが全国規模で行われる試験にも導入されることとなったのは、○×式の弊害が認識されてきたためだろう。となれば、受験生の力量をじっくりと見ることが可能な記述式の是非について議論するのは、まず実施してみた後でも遅くはなさそうだ。